第2話 クラカ&ヤタガラス
あら、クラカったらまた目で追ってる。余程、好きなのねー。
私だったら、即アプローチしちゃうのに。
~帰り道~
何で話してくれないのかしらね?
こんな近くに最強の相談相手がいるってのに!
「……ねぇ、ヤタ。相談があるんだケド」
「もしかしてログ君のことでしょ!」
「えぇ!何でわかったの!?」
そりゃあ、廊下をすれ違う度に視線がいったらわかるわよ。気にしてる子だってね。
「ライクじゃなくてラブなんでしょ?どーぞどーぞ、このヤタガラスめに相談あれ!」
「ら、らぶってほどでは……」
全くこの娘ったら意外に奥手なんだからー。
友達といるときはハキハキ喋るってのに、いざってなると……。
「あら、ライクなの?じゃあいいわ。そういやあなたのお兄様、学校に通い始めるようになってヨカッタワネー」
「ら、ラブなんです!お願い、話を聞いてください!」
~自宅にて~
状況を整理しましょう。クラカが気になってる男子はログ君。スポーツ万能、成績優秀。結果、女子にモテモテ。
ま、クラカがつりあってるとは思わないんだけどね。
「でさー、どう……告白?すればいいかわからないわけでありまして……」
「ストレートに言っちゃいなさいよー。私ならそうするわね」
「それが出来ないから相談してるんです!」
「じゃあ、そのスマートフォンなるもので豪華に絵文字をそえたメールとやらを送って撃沈したら?」
伝わんないわよ。直接じゃなきゃ。フラれたとしても、それを活かして次のステップに向かうってのが青春の醍醐味じゃない?
…………。
…………?
「クラカ……どうしたの?」
「男か女か見当のつかないあなたになんて、乙女の恋心なんてわからないでしょうね?!」
カッチーン
「は?マジにいってますの?この私に?」
「そうよ!カラスの癖に!」
……。
「ま、カラスでもないんでしょうけどネー。ソウルって意味わかんない!」
……もう絶交だわ。
「……なんか言い返しなさいよ。」
……アナタなんてしらない。
「ね、ねぇヤタ?ヤタったら?」
……じゃあね、永遠に。
あれから一週間、クラカから元気、笑みは消えてしまいました。
私的には頭が冷めて、仲直りしてもいいかなぁと思うけど、こっちから言ったらクラカのためにならないわ。ソウルとして、あなたの一番側にいる者として見守ってあげるってのが私の役割……なのかしら。
もうお昼よ?友達と一緒に食べないの?
何処にいくの?まさかトイレお飯?
そんな主人なんて絶対嫌だわ!
「ク、クラ……」
「ログ君!」
……へ?
「お昼、一緒に……どうかな?」
ざわつくログ君のクラス。特に女子。
とうとうやる気になったのね。やるじゃない!
ログ君は男子のグループで、これからお弁当の時間だったみたい。
「おい、ログ。またなんじゃねぇの。」
取り巻きの男子。外野は黙ってなさい。
気になるログ君の返事は。
「うん、わかった。場所を移そうか!」
流石、モテる男は違うわね……。
選ばれた場所は体育館裏。私までドキドキしてしまうじゃないの。
「クラカさんだったよね。確かB組の。」
「お、覚えてくれてたの?」
「だいたい覚えてるんだ。同級生のことだし。で、ランチだったよね。食べようか」
二人の会話ぎこちないわねぇ。しっかりしなさいよクラカ。
ほら、ログ君気にかけてくれてるわよ。いい男性じゃないの。頑張ってクラカ。
ああ、もうお弁当食べ終わっちゃった!どうするのよぅ!
「ごちそうさま。じゃあ教室に戻ろっかクラカさん」
「……はい」
教室へと向かう道。二人の時間ももう少し。こんな結末でいいのクラカ?
……クラカ。
「……クラカ!」
「えっ!ヤタ?」
いけないつい語りかけちゃった。でも……。
「頑張って!もう少し!もうちょっとの勇気よ!」
「えっ……う、うん!」
突然クラカが話し出したので、ログ君も驚いている。
「ソウルの娘から何かあったのかい?大丈夫?」
答えてねログ君。この娘、いいこなの。
ちょっと怒りやすかったりするのかな?でもね。
「ログ君!好きです!付き合ってください!」
いい直球持ってるのよ。なーんてね。
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