第9話

「あちっ!あちあち!!」


「危ないじゃない?!前見て前!」


「見てる見てるから暴れるな!」


左右に爆風が吹き荒れ、火の粉が散る。上からは、アンコの羽根爆撃が行われる。


(こ、これ所謂お姫様抱っこなのでは?!)


内心とてつもなく動揺しつつも隠しながら戦闘の方に気を向けられるあたり見栄っ張りな花凛らしかった。


「戦闘参加くらいに回復するまでどれくらいかかる?」


「あと5分……。いや、3分50秒でなんとかしてみせる。」


「おーけー、じゃあ、それまでコレ借りていい?」


「…………へ?いいけど。扱えるの?」


「花凛ほどじゃないけど。なんとなくわかるんだ。これは、キミなんだってね。だから。」


「……(貸すのは)初めてだから、優しくしてね。」


「誤解される言い方やめてくれますか!?」


ほぼ同時にアンコの羽根の一つが背後で爆発する。


実は、アンコの羽根の中心部分は火薬(魔力の塊)のようになっており、触れるのをトリガーに炎が燃え移り爆発する仕組みだった。つまり、花凛が命を放り出しても、魔法のみを弾くバリアを張ることがあの時の最善策ではあったのだ。


「じゃあ、そこのマンションの端で下ろします。そのあと、時間稼ぎをするから出来るだけ早く合流を。」


「ええ。気をつけてね。」


「花凛こそ。」


短い会話をすまして2人はすぐに気を引き締めた。


有言実行のあと、優希は前に出る。


「とぉう!」


「きぃ?!」


ビギナーズフォームよりも、本格的に身体強化されたブレイズブラッドフォームは性能は段違いである。


突然、眼前に飛び上がってきた優希にアンコはおどろく。


しかし、素手の彼にはこの距離の攻撃は…


「せいやッ!」


「きききぃぃぃいい!?」


「真剣は、初めてなんだが。懐かしみすら感じる。」


腕に煌めくは赤と銀の胡蝶丸。花凛から借りた具現化されたグローリー。彼女の心の形。


電撃的な奇襲を受けたアンコは、右翼を切られかけるも、羽根をリアクティブアーマーのように爆発させて威力を殺した。なんとか切り落とされることはなかったが、飛びにくくなる。


「アンコ!」


「セイッヤァァァァァァ!!!!!」


「くっ。クソがァ!!」


優希は、アンコを切ったときの回転の力を利用して落下しながら更に体を捻り、落下斬りをする。カジョータは、電流を流した鞭を天向かって薙ぎ払う。胡蝶丸とカジョータの鞭がぶつかり合い、火花を散らす。


一瞬は二つは攻めぎ合うも、弾かれたのは。


「かハァッ!オリジナルの半分以下だな、てめェ!」


優希は、押し返えされ地面に叩きつけられる。頭から落ちるところを、受け身でギリギリ全身にダメージを逸らす。


「優希!上!」


花凛の言葉に、すぐに体を立ち上がらせ横に飛ぶ。ほぼ同時に爆発が起こる。


危なかった…。あと、3分30秒。とにかく、時間稼ぎだ。1対1でも勝てそうにないのに1対2なんかじゃ、勝てるわけない。花凛が復帰するのを待つ。できれば、タカ型のイドラムを倒して形勢逆転を狙いたい。


「ンなあめェこと、かンがえてンじゃねェだろうなァ???アンコは、お前対策でもあんだよ。てめェ、魔法つかえねェだろ。」


ニヤリとカジョータの顔が歪む。寒気に襲われた優希は、天を仰ぎ見た。


円を描くようにアンコが空を飛んだあと、突然スピードをあげ、無秩序的に縁の中を飛び回る。


「な、なにをして。」


「そうだよなァ。魔法が使えないってことは、魔法陣なんて知るわけねェよなぁ!」


「………ッ!!」


だんだんとスピードをあげて飛ぶアンコは、天に線を引くようにして火のついた羽根を巻く。赤い羽根でできた魔法陣が姿を見せる。


「これが”普通”の限界だァ。傲慢にも土台を蔑ろにしィ力を持っていると慢心しィ己が力を捨てたァ…。てめェらの終わりだ。」


まずい。あれは、受けたら死ぬ。隠れなきゃ。


得体の知れないものへの恐怖が彼を襲った。マンションの前の広場全体を覆うほどの大魔法が放たれようとしている。


建物には、隠れられない。じゃあ、地面の中とかか?いいや間に合わない。それにこの円の中以上にに効果を及ぼす魔法かも知れない。


高速で展開された思考。それ故の結果は。


「これしかない……。」


優希は、50メートルを走り出すようにクラウチングスタートの格好をとり、鉄砲玉のに飛び出した。バネのごとく足を使い身体強化された足を使い全力で、突っ込んでいく。


「なにを………まさか俺を、盾に取るつもりかァッ!?迅雷鞭っ!」


魔法が打たれて、対処に困るなら、打たれないようにすればいい。それには、主人であるカジョータを盾にとり、アンコに魔法を撃てないようにしてしまう作戦だ。これには、優希の瞬発力と発射の直前までにカジョータに近づく必要がある。


格闘技の体捌きを利用し最小限の動きで前に進む。当たっても突進に関係ないところは、無視して突っ込む。


「なンでだ!?なンで、てめェは諦めねェ!?てめェは、決して勝てねぇンだぞ!?」


進め!進め!足を踏み出さなければ、進むことも逃げることもできない!幸い足は動くんだ。進むしかないだろう。


「決まってる。勝てないことは、諦める理由にはならないからだ!」


上半身の傷からは、血が溢れるように飛ぶ。それでも、優希はカジョータに近づき迫る。


「くゥ!!雑魚がァ!」


鞭が避けられないように横に振るわれるも、優希はジャンプや走りの態勢を極限まで下げて、鞭の防衛線を避けて通る。


「”普通”ごときがァぁぁぁ!!」


そして、ついに超至近距離まで距離を詰める。ここからは、この距離での時間稼ぎが優希のやることだろう。


しかし、


「別に倒してしまっても構わないだろう?」


としっかりフラグを立てて戦いに臨む。


この距離なら、鞭もその威力を半減する。そして、アンコの魔法も放てない。つまり、ここより外が俺と花凛のデッドライン。だが、ここより内は俺の格闘技の領分だ!


胡蝶丸が手に余るし、アンコが襲わないとは言えないので花凛に返すことにした。手をかざし掲げると、刀が炎に包まれ一瞬にして消えてしまった。


半身になり両手を構える。


この全身が、優希の武器だ。有名な格闘技のほぼ全てをマスターした彼に格闘技に人の敵はいない。


「クソ生意気なやろォだぜ。この俺に至近距離じゃ勝てると思ってンだろォなァ!」


「負けはしないよ!」


カジョータは、側から話すために中段蹴りを当てて吹き飛ばそうとしたが、


「ハッ!」


優希は蹴りを右に避け、そのうえ宙を切る足に拳を叩きつける。ブレイズブラッドフォームにより拳の軌跡は、赤黒い線が残る。


「ふン!やっぱ”普通”だなァてめェ。」


殴られた足が弾かれたように吹き飛ぶ、もう片方の足が軸にして、高速回転し、優希の背中に蹴りが入る。


「なっ!?なんで?」


背中の赤い装甲に、電光石火の勢いの蹴りが叩き込まれる。どうやら、殴られた瞬間に片足を軸に電気を流し磁力によって蹴りを加速させたようだ。


「力がの使い方が、まだまだ人間の”普通”なンだよ。俺らは、保持者サバイバーなンだぞ。もはや、人間の価値観で考えてンじゃねェ!」


身体が浮き上がり相手に隙を見せるが、カジョータも攻撃できる体制でない。


「だとしてもッ!保持者サバイバーになっても。俺は人間の”普通”を捨ててたりなんかしない。俺は普通であることを受け入れている。なぜってそれは、幸せなことだから!俺なんか与えられた最大の幸福だからッ!」


あと、2分をどんなことしても稼ぐ。


この全身を一切の無駄なく使い切る。筋肉の全てを知恵の全てを、そして、


願いにも等しい決意は、叶えられる。


その時、不思議なことが起こった。


突然、背中のスーツの切れ目から、深紅の結晶が突き出る。結晶は鋭く伸びていき、地面を踏んだ直後の足に絡みつく。


『アームド!ブラッディ・クリスタル』


(な、なんだこの脱力感は………。だけど、わかる。この結晶は操ることが出来ると、確信している。)


「ンだよォ!?こいつはァ!はなしやがれ!」


電撃をぶつけるもビクともしない結晶にイラつく。そんな中、優希は、さらにもう一つの能力を発動させることがなぜかわかった。


「【着火イグニッション】!!!!」


叫び声とともに、結晶は突如として発火した。その炎は、花凛の炎とは同じようで、違う真っ赤な炎だった。炎は、すぐにカジョータの、足を呑み込む。


「ッッッッッッッッッッァァァァアアアアアアア!!!!!!!」


結晶に取り込まれて足だけが炎に包まれているのに、カジョータは全身焼けて針で刺されるような鋭く激しい痛みに襲われた。


口が裂けそうなほど大きく開けられ、絶叫する。


「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!」


顔を引っ掻く爪に力が入りすぎて顔の肉を抉る。


優希は、隙を見て背中の結晶を操作して切り落とし、脱出しながらカジョータの背中に回り込んだ。


「てェェェェェェェめェェェェェェェ!!!」


血走った目をしてカジョータは怨嗟の声を上げ、振り向こうとする。だが、カジョータの背中に回った優希は、振り返ることを許さない。


背中に背中をぴったりとつけ、絶対に見合うことが出来ないようにした。


「馬鹿がァ。自分に当たらねェとわかってたらこの鞭を振るえるだろうがァ!迅雷鞭!………手応えがねェな。」


背中に向けた振るわれた鞭が当たったものは人体ではなく謎の硬い何か。煙を上げてたのは、真っ赤な色の盾からだった。


互いの背中を、結晶によって離れようなっており優希の両腕には結晶で造られた平べったい盾のようなモノが装備されていた。


「ちィ!迅雷鞭。迅雷鞭。迅雷鞭!迅雷鞭!迅雷鞭ッ!迅雷……!」


何度も何度も何度も鞭が振るわれるも、紅の盾は砕けない。


あと、1分たえれば…!


「君も、普通であることを望んでいたから、希望していたから絶望しているんじゃないのか!?」


「知ったような口を聞いてンじゃねェ!!チクショう!チクショうがァ!ゴミゴミゴミゴミゴミゴミ!ゴミの分際でよォ!?!?!?」


怒りの最頂点を超えたカジョータは、怒鳴り散らし、自暴自棄となる。


「アンコぉぉぉぉお!!俺ごとやれええええええええ!!」


「なんだって!?」


「なんですって!?」


優希と花凛は驚きを隠せない。


(しまった。カジョータは底辺故のブライドがあり、価値を見出しているのだと勘違いしていた。けどそれは間違いだ。逆なのだ。彼は自身を本当に底辺のゴミだと自覚していた。それ故、己が命を捨てることも容易いのだ。)


「あはァ!あは。あはははははははは!!!アヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!!!!!」


天高くを見上げて悪魔のような笑みを浮かべる。


「さァ!撃て!アンコ!本当の底辺の最低さを教えてやるンだァ………。飛び散れ、普通に咲き誇る花どもォ」


「離れて!優希くん!」


「わかってる!わかってるんだけど……身体が……。」


結晶を初めて出した時と同じように強烈な脱力感と眠気が蝕む。天の魔法陣が輝きを増していき、魔力が高まる。


「いや!いやよ………。」


花凛は、つい目を背けてしまった。父が目の前で殺される光景と、優希の姿が重なる。視界がブラックアウトする。



















~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「なぜ?なぜ、見てェるンダァ!?なぜェ!アンコさァん!」


ゆっくりと瞼を開くと、そこは一切が燃えて更地となっていた、ということはなかった。


アンコは、魔法発動直前でやめてしまったのだ。これでも、主人想いなのだろう。イドラムに感情が在るのかはわからないが。


「もういい!こいつをぶッ殺せェ!」


アンコは、主人の声に反応して魔法の発動をやめ、急下降してきた。


「はァッ……これでてめェも終わりだなァ!」


優希は、朦朧とした意識の中で死が迫ること感じていたがそれよりも、


あと……40秒!


「魔法が、とけたなら…、もうくっつく必要はないな!」


優希は、結晶を操作して接着をやめ体を倒すようにしてその場を離れる。


「ハハははははは!!!それこそ愚策よォ!背中を見せなたなァ!迅雷鞭!」


千鳥足に近い優希の背中に容赦なく攻撃が襲う。


しかし、打つかる直前、


「おばあちゃんが言っていたわ!お肉と女は少し焼けてないくらいがちょうど良いってね!」


防いだのは、赤と銀の美しい日本刀。花凛の胡蝶丸であった。


「ちィ!もう回復しやがったのかァ。だとしてもなァ、どンなことをしても雛澤優希だけはぶッ殺す。そう決めたンだ。」


「そうは行かないわ。」


花凛は自信を持ってそう答えた。


「あァン?」


カジョータには、そのことが引っかかった。その理由が全くわからなかったのだ。片方は瀕死で、アンコも入れて2対1。得意の炎系の技はアンコによって無効化される。絶体絶命と言ってもおかしくない。


「ふっ…………わかんないの?」


花凛は、馬鹿にしたような表情をする。少し離れたところにぼんやりと突ったつ勇気の肩を抱え、カジョータの方を向く。


「”普通”に戦って、”普通”に勝つのよ。”普通”を取り戻す為にね。」


明らかにカジョータを挑発する物言い。案の定、カジョータの表情はどんどん悪くなって行った。


「……………面倒なンだよ。てめェら。だから、まとめて消してやる。次の一撃で必ず消し炭に変えてやる。来い、アンコ。」


「あら?それは、貴方たちじゃなくて?」


切っ先をカジョータに突きつけ更なる啖呵を切った。


「イドラム・マジック・爆雷刃ばくらいじん


「きぃっ!」


腕に乗ったアンコは、両翼を広げる。すると、アンコを中心にカジョータの前に大きな魔法陣が現れた。赤と黄色の魔力が混じり合ってゆく様子がくっきりと見えた。


恐ろしく濃厚な魔力ともなると、属性ごとの色をくっきりと可視化するほどになる。


さっきの言葉通りカジョータは、これで決めるようだ。


(正直、私1人じゃ絶対耐えられない。あの魔力の高まりだけでもう裸足で飛んで逃げたいくらいよ。)


1。起きて、雛澤君。まだ、行けるわよね?というか行かないと死ぬから、私たち。」


「あぁ………。なんとかね。あはは。絶体絶命のピンチに女の子に抱えられてるヒーローだなんてね。」


「気にしない気にしない。雛澤君の炎を見ればわかるわ。その炎に込められた貴方の強く優しい想いがね。」


花凛は、そう言って胡蝶丸の持ち手に優希の手を当てさせた。優希は首をかしげる。


「覚悟を決めてきたのだから、私と地獄まで付き合ってもらうわよ。」


花凛はそう言って、唇の端を曲げる。それに対して、優希は同じようにカッコつけて笑う。


「何を言ってるんだ。そんなことはさせない。」


「へ?」


突然の裏切りに花凛は素っ頓狂な声を出す。


「君を地獄から救うために、俺はここにいる。君を地獄の底になんて連れて行かせない。たとえ閻魔様が君を堕とそうと、俺が君に光を見せるよ。」


「……………ふふふふ。あはははは!!!」


さっきまでの格好つけた笑いではなく、心からの笑いを花凛は、抑えられなかった。愉快爽快。


「なら、見せなさい!最初の光を!」


「了解!行くよ!」


「最期の会話は終わったかァ?ならば死ね。」


魔法陣は肝心に完成し、ありったけの魔力が詰められていた。


直後、極光とともに魔法陣の中心から剣の形をした爆電撃が放たれた。空気を裂き、余波だけで地面を削り2人の眼前へと飛び込んで行く。


「赤菱流・鶴焔つるほむらッッッ!」


燕火より強い、炎の斬撃が宙を駆ける。両者はすぐにぶつかった。


「はぁぁァァァァァァ!!!!」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


両者の叫び声とともに魔力が更に高まり互いの技の威力が上がる。両者はともに拮抗してた。


しかし、すぐにその均衡は崩れる。


「ぐはっ……!」


花凛は、己が口から吐き出した血の塊を見る。


「やはり、治ってなかったンだなァ!死ね!死ね!アンコ、全部出し切れェェェェェェェ!」


直後、極光の剣は、その太さを増し威力を増した。花凛の胡蝶丸が押され始めた。


「雛澤くん……!」


(君の炎は、ただの炎じゃない。君自身の形そのもの。誰よりも誰にも優しい君ならば、その炎は…)


「あぁ!わかってる!1人じゃダメでも、2人ならぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」


直後、胡蝶丸が優希の前身から垂れた血液が塊結晶として覆い尽くす。紅色のクリスタルは、輝きを増す。彼女の心を覆うように優しくそして強く。決して折れぬ剣へと進化して行く……。


「ま、まさかッ!?!?やめろォ!」


「たとえ、俺が“普通”でしかないとしても。」


優希のやろうとしている事がわかったカジョータは、震えた。足だけであれだけの激痛が走ったものを全力で振るわれる。その恐怖に、カジョータは、更に魔力をつぎ込む。


「やめろオォォォォォォォォォォォォォ!!!!!」


「”普通”の幸せを普通に手に入れられる世界を俺は望むよ。」


直後、ずっと無言であった


『ファイナル・ブレイク』


「【グルスイグニィィィィィィショオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!】」


直後、かつてないほど大きな爆発が起きた。


一切の塵も残さぬ殺人的な爆裂により、その辺りの空気は全て吹き飛び、真空となる。しかしすぐに世界の辻褄を合わせるように空気はその場に舞い戻る。それ故に爆煙は上と吹き上がり黒い大きな跡を残す。傷痕と言ってもいいかもしれない。


砂塵がまい、発生した熱量が周りに飛び、やっと普通の人間が近づけるほどの空間へと戻った。


煙が腫れていき、見えて来たのは、3人の姿だった。


地面が焼ける音だけであとは無音のこの場所で、初めてなった音は、2人が刀を落とししまった音だった。


紅の結晶は、既に刀には付着しておらず2人の手から離れた胡蝶丸は、重い音を立てて地に落ちた。


次に聞こえた音も2人からのものだった。


バタン、バタン。


続けざまに倒れる音。


そして、


「そうか……、てめェの炎は心の炎だから……。身体は痛くなェが、ここ痛いンだな…。」


カジョータは、そう言って一切傷のない身体を、背中から胸を押さえて倒れた。


彼の胸には、一切の傷はなかったが彼の表情は、憑き物が取れたようだった。


そして、2人は………


「君はなんて優しいの。敵さえ助けてしまうなんて。」

「君はなんて強いんだ。俺でも救ってしまうなんて。」


イチャラブしながら、地面に倒れていた。


字幕 (血管の破れる音)


「あ、やば。あとよろ。」

「はい?」


優希の意識は、直後失われた。

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