第35話

やっと蝙蝠の姿から人の姿に戻れたキリ君。でも戻った瞬間私を押し倒す形になってしまい、その原因を作ったトオルさんを魔法で狙撃しだしました…


「絶対許さねえ!!」

キリ君はそう叫びながらいつも魔法を発動させる時に使っているランタンを手にトオルさんを光の玉の様なもので狙撃し続けている。トオルさんはと言うとさっきの傘を開いて笑いながらその玉を跳ね返している。とても凄い爆音や爆風はしているのに店内には傷一つ付いていない。

「若いのにもうお終い?」

爆音が止むとトオルさんのそんな声が聞こえてきた。キリ君を見るとキリ君は床にへたり込んでいた。

「年寄りの癖に…」

キリ君は恨むようにそう言った。するとトオルさんはキリ君の背中を傘で軽く叩きながら

「はい、はい。どうでも良いからその服着替えてきなさい。私の貸したげるから」

と言ってキリ君を奥の部屋へ追いやった。

「さて、」

トオルさんはそう呟くと「コーヒーのおかわりは?」と尋ねてきた。私は首を軽く横へ振った。

「やっぱり君はお兄さんに仕込まれて紅茶党な訳ね」

と言いながら自分のカップを取り替えた。

「トキザカさんも魔術師何ですよね?」

私はそう尋ねてみた。

「トオルでいいよ。確かに魔術師だよ。君のお兄さんみたいに“あり得ない”魔術師じゃないけど」

トオルさんはそう言いながらまた私の正面の椅子に腰掛けた。

「兄が有り得ないってどういう意味ですか?」

自分の眉間に皺がよったのがよくわかった。

「ここからは二人切りで話そうか。特に君のお兄さんには邪魔されたくないから」

トオルさんはそう言うと後ろの柱時計を傘で叩いた。その瞬間時計の周りから色が失われていった。足下やテーブルはどんどんと灰色になった。自分とトオルさん意外全てが灰色で形だけがある状態だった。

「何を…したんですか…」

私がそう言うとトオルさんは

「ちょっと時間を止めてみた」

と笑いながら言った。

そしてコーヒーを一口飲むと真剣な目で

「魔法の原理を君にも教えてあげるよ」

と言った。とても不気味な笑みを浮かべながら…

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