第2話 謎な朝食
目を開くと、視界には扉に開いた穴および地面へ転がる見知らぬ連中が5人。やはり、夢ではなかったのか。背中より痛い頭を壁から起こすとすぐ隣にもう一人。見慣れない褐色の肌と短い黒の髪。他の男達とカナートのいる場所の間に片足を伸ばして眠っている。
「フォガラ?」
昨晩教えられた名前を呼ぶと彼はすぐさま顔を上げた。何を考えているのか分からない無表情でカナートを見る。
「…。ああ、そうだったな。」
しばらくカナートを見ていたフォガラはなにやら勝手に得心したように呟いて傍らで他の男の枕にされていた荷袋を引き抜いた。枕を取られた男の頭はそのまま地面に落ちたがその男が目を覚ますことはなかった。フォガラは荷袋のひもを緩め中から皮袋に入った干し肉を取り出した。
「食え。」
ぐっと突き出され思わず受け取る。フォガラはうなずいて新たな干し肉を取り出し自分の口にくわえた。カナートもそれに倣ってくわえる。意味は分からないが変なものが盛られているというわけではなさそうだしなにより狩りに出る父のいないカナートにとって肉が食べれるというのはかなり珍しいことであった。がじりがじりと硬い干し肉を黙々ほぐしていると少し離れたところで横になっていたかたまりがむくりと起き上がる。
「フォガラ、見張り、代わるぞ。」
起き上がった男はじとりと細く吊り上がった目をしていた。それが、ひどく薄気味悪く感じカナートは口内で遊んでいたひとかけらをごくりと飲み込んだ。フォガラはちらりとカナートに視線を向けた後、いたって平坦な調子で返した。
「いや、大丈夫だ。ここにいる間は俺がするよ。」
吊り目の男はフォガラがカナートに視線を向けたとき干し肉をくわえるカナートを見たが特に何を言うでもなく、あっさりと引き下がった。
「そうか?じゃあ、頼むよ。」
再び男が元の場所へ帰る。がじりがじり、カナートも再び咀嚼を始めた。フォガラは次の干し肉を取り出す。
「なんだ。食べるの遅いな。硬すぎたか?それとも、食欲ないのか?」
「別に…。あんたが速いだけだろう。」
がじがじ、突如押しかけてきた男と二人並んで干し肉をかじる。なかなか謎な光景だ。顎を動かしたせいで覚めてきた頭で改めて考えてみた。彼らは何者か。フォガラと他の男たちの見た目は様々だ。見慣れた色合いの顔も見えなくはないが俺を連れに来た役人とは明らかに何かが違う。
「おまえにはこっちのほうが食べやすいか?木の実と雑穀を乾かしたものだ。少し甘いぞ。」
やっと最後の一口を飲み込むとフォガラは新たな袋を手にしていた。互いの間においてまずフォガラが一つまみする。続いて一つまみすると覚えのない味だがほんのり甘い味がした。
「あんたなんで俺に食わせようとしてくるの。」
次の一口をつまみに行きながらカナートは聞いた。フォガラはさして表情を変えるでもなくあっさりとしていた。
「子供は体こそ小さいが成長するのに大きなエネルギーを使う。更に体力的にも免疫的にも脆弱だから栄養補給は欠かせない。おまえは少し痩せすぎだ。」
だから、食え。フォガラはカナートを
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