十二番番目の志士(第二部)2 翌日は太政官に出仕して顧問室にて西南戦争の報告書を見ると、戦死者は政府軍70000人中6000人、薩摩軍30000人中6800人となっておりほぼ同数の戦死者だったので


十二番番目の志士(第二部)2


翌日は太政官に出仕して顧問室にて西南戦争の報告書を見ると、戦死者は政府軍70000人中6000人、薩摩軍30000人中6800人となっておりほぼ同数の戦死者だったのです、

これにかかつた戦費は莫大であり、平民の兵隊でも士族とそん色なく戦えることが証明されたのみであった、まつたく戦争とはばかばかしい国力の消費であると思った、

のです、


岩倉が部屋に入って来て応接に座り、西郷さんは官位をすべて剥奪しなければならないが、これを発表すれば生き残った薩摩士族がまた反乱でもおこすやろうかと言うので、

それはしかたありません、厳正に対処しないと政府の権威は失墜します、時期をみて維新の功労者として名誉回復させればいいと思います、残された家族に対しては五代、

産業が暮らしていけるように取り計らうよう頼んでありますと言ったのです、


ほなそうしますと言い、キズはいたみませんかと聞くので大丈夫ですと答えると、今回の新之助の功績に章典録を1000石から2000石に増やす事になったと言うので、それは、

ダメです政府の密偵といえ薩摩軍の参謀だったのですから、何もしてはいけませんと言うと、それは気の毒やがなというので、それが八方上手く行く方法です、と言うと、

わかったほなそうしようといい、


大久保に勲章を授与される事になったが、本人が辞退しているので困っているのだと言うので、それは受け取ってもらわねば困ります、大久保さんは憎まれ役ですから受け、

取って、盟友といえど政府に逆らう物は許せないという態度が今後の国内の乱をふせぐ唯一の方法なのですと言うと、ほうやろう、ほな新之助から説得しておくれと言うの、

で了承したのです、


岩倉が帰ると元高鍋藩の佐々木源次郎が訪ねて来たのでイスを進め、今回の西南戦争の戦費調達ご苦労様、大変だったろうというと、伊藤さんが戦費調達の為国債を発行して、

豪商に引き受けてもらうよう言うので、こんな多額の国債を引き受けるでしょうかと聞いたら、新之助さんが薩摩軍の参謀だから上手い負け方をしてくれるので必ず償還、

出来ると言えば引き受けると言い、


新之助さんが政府の密偵だという事は豪商には絶対他言無用だ、言えば家財没収の上極刑になると言うように指示されたので、その通りに豪商に頼んだら快く引き受けてくれ、

て何とか戦費は調達できたよと言うので、いつも俺は悪者だな生き残った士族が俺を狙うだろうと言うと、だから気をつけるように言いに来たのだよ、それから高鍋藩の元、

藩士の勤め先の斡旋ありがとう、


みんな喜んでいたよ、二回も新之助に助けられたのでいつかは恩返しすると言っていたよと話したのです、そうか、それは頼もしいいつかは頼む事もあるだろうと言ったの、

です、ところで職責はなんだと聞くと、大蔵省主計局主計官だよというのでそうかこれからも軍の戦費調達は重要な仕事だから頑張ってといい、お鈴さんは元気かと聞くと、


奥方の博多商会の手助けをしていて忙しいらしい、何でも日本の女の地位向上をするんだと張り切っているよと言うので、そうかそれは良かった、2人とももう一度婚姻を、

上げるといい、たまには2人で家に遊びに来いと言うと、そのうちと言って帰っていったのです、部屋を出て大久保の所へ行きイスに座ると、ほんのこておやっとさあ、

ごわしたと言うので、


岩倉さんから聞きました勲章授与を辞退しているそうですが、憎まれ役ですから受けなければなりません、じゃつとん、新之助さあも加増をことわったではごはへんかと、

言うので、私は密偵といえ薩摩軍にいたのですからダメですが、大久保さんは政府の鎮圧責任者です、辞退すると今回の政府軍の軍人の褒章、出世も出来なくなります、

不平不満が充満しますよと言うと、


そうでごわすかまつたく損な役割ごわんすなといい、ああ、新之助どんもおなじでごわすなあと笑ったのです、仕方ない西郷さんと2人で貰う事にしもんそ、時期がくれば、

名誉回復しもんす、どこかに銅像でもたてもんそと言うので、今日は損な役目同士一杯やりましょう、伊藤さんも誘っておきます、いつもの料理屋で待っていますと言うと、

わかりもした、仕事をおわらして行きもんそと言ったのです、


その足で伊藤に木戸さんと西郷さんを忍んで一献と声をかけると、誘ってくれて嬉しいです必ず行きますと喜んだのです、早めに太政官を出てお節の所へ顔をだすと、お節、

が出て来て会頭室に通したのでイスに座ると、五代友厚が入って来てキズはどうですかと聞くので、お節の介護のお陰ですつかりよくなったよといい、東京へは何の用と聞、

くと、


今回黒田さんから北海道の官有物の一部を払い下げるので、美唄と釧路の炭鉱を引き受けて欲しいとの事で来たのですよ、役人が運営しているので上手くいっていないのだ、

そうです、使っている業者との癒着があって鉱夫、アイヌの給金を搾取していて、生産が上がらないので幌内炭鉱のように民間に運営を任せるようにしたいとの事で姉さん、

に仕組みを聞いていたところですと話したのです、


そうか仕組みを良く聞いて、搾取のない方法をとればみんなやる気をだして生産性が上がる事がわからず、人から搾取して儲けようとするやからが多いから困ったもんだよ、

と言うと、何でもその役人が肥前藩の出身で大隈さんとも親しいらしいので、民営化に反対しているらしいんですが、岩倉卿、大久保さん、伊藤さんは賛成しているのだ、

そうですと話したのです、


それなら払い下げも上手く行くだろうといい、福岡の筑豊でも炭鉱が発見されたと聞く、そっちも頼むよというと、今山師がどのくらいの鉱脈があるか調べていますと言っ、

たのです、それでは太政官に顔を出しますと部屋を出て行ったのです、お節になんかふっくらしているけどと言うと、実は赤子が出来たのです、九州で一杯情けをもらいま、

したのでと言うので、


それは目出度い、あんまり頑張ると身体に悪いので気をつけるのだよと抱きしめて唇を合わせると、誰かが来ますよと言うので、そうかといい唇を放し手を握ったのです、

今日は大久保さんと一杯やる事になっているのでその後に寄るよと言って関東産業を出て深川の料理屋に行ったのです、女将がお帰りなさいケガは大丈夫ですかと聞くの、

で大丈夫だよというと、


新之助様でも弾にあたるんですねと言うので、生身の人間だからねといい、銭湯に入ってくるよと言うと、下帯と浴衣に手ぬぐいと石鹸を渡すので受け取り、銭湯に行った、

のです、ゆつくりお湯に入り上がって料理屋に戻ると、膳のしたくが出来ており女将が酌をするので飲み干し、後で大久保さんと伊藤さんが来るよ、なにか上手い物でも、

食わしてくれと頼んだのです、

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