第8話「衣類をひと吹き瞬間お洗濯……とは行かないんだな」
まあね……そんなわけで。口臭は虫歯とか内臓系に問題があってひどくなることがありますけど、こと体の匂いについてはもうその個体の特性でしかないんです。つまり個性。
女性のニオイについても最初に話したでしょ? シャンプーして48時間経った後でもニオイはそれぞれ違ってて、若い人ほど男性にとって『良い匂い』と感じるって。男の脇の下だって、まあ普通だったらそう気にするものでもないし人によっては悪くないニオイを出している場合がある。
だから体のニオイに関してナーバスになるよりも、衣服のニオイを気にした方がいい。
以前にマンションで家中が臭くてたまらないって相談があって。家のニオイが家族の衣服に移っちゃって、電車に乗ると他の人たちが咳き込むとか……それはただの思い込みだったんですけどね。
いろいろ調べて要所要所で消臭もして行ったら、最後に残った『臭いモノ』が洗濯機だったってオチでした。部屋干しをしてたから洗濯物のニオイが家の中に拡散して、どこが臭いのかわからなくなってしまったらしいです。
最後に洗濯機を買い換えたら収まりましたけど……衣類の消臭? いろいろありますけど、ご家庭なら『○ァブリーズ』とか『○セッシュ』とか、雑誌の試験じゃライ○ンの『○イジア』が一番効いたようでしたね。
いや本当に効きますよ。私『○ァブリーズ』のTVCMでテクニカルアドバイザーやりましたから、宣伝じゃなくて散々実証実験もやりました。だからよく見るとCMで使われる使用例がある時から変わってる。
以前は「軽く吹きかける」画だったのが「たっぷり吹く」画になってるんです。カーペットだとかソファとか、厚手の布製品だと表面だけに吹きかけても中のニオイまで消えませんから。奥まで染みこませることで消臭効果がアップするとわかるアピールさせたんです。
まあやたらに量を使わせるってのも好ましいことじゃないので、そこそこでしたけどね……経済情報誌の評価実験じゃ、臭くて自分でも履くの嫌だって言ってた記者のスニーカーを見事に消臭できましたから。全体に染みこませてしっかり乾燥させれば何でも良く効きます。百均の製品は有効成分が薄いからあまり効きませんけどね。
車用○ァブリーズでも、焼き肉とビールをたらふく食って飲んだ週刊誌記者3人が乗ったタクシーで、記者が降りたらすぐ私が乗って残臭チェックする実験をやりました。製品の香りが気になる人もいるでしょうけど、アレは効きますね。
え? 『置き型○ァブリーズでくさやのニオイ』ああ、あれは私かかわっていません。まあ……瓶入り焼き毟りくさやなら、間違いなく消臭できるでしょうね。アレは企画と演出が悪い。
あの製品も1999年に発売されたモノですから、20年も経つんですね。時代の好みに合わなくなるはずだ……ああ、雑誌の実験で『どの○ァブリーズが一番効くか』ってことをやったのですよ。
あの製品もいろいろ香り付けしたバージョンが出てきていますけど、実験ではなぜかスタンダードの評判が悪い。なぜかって考えたら、どうも乾燥させた後に残る香りが嫌われていたんですよ。緑茶由来の成分だと思うんですけど、それが入っていない完全無香の製品は評判が良い。
日本人が緑茶を飲む量が減ったとか言われますけど、あれは茶葉の購入量であって消費はペットボトル飲料に移ってますからね。リッターカウントの消費は増えてるんじゃないかな? まあそれは別として、たぶん除菌剤として使われている緑茶のニオイが嫌われてしまうようになったのは、嗜好の変化なのでしょうかね?
えーと……衣服のニオイから話しがちょっとそれましたけど、前に話した外に持って行ってビニール袋に入れて嗅ぐ実験をやれば自分の服が臭っているかどうかはわかります。
は? 下着はどうか? 特に夏用下着が気になる……だったら○ニクロのエ○リズムって製品にしておけば心配ありません。はい……自信持って勧めるくらいだから当然実験をやってます、私は何でもやるんです。
あれは繊維メーカーの技術ですね。制菌剤として使われる金属化合物を無害化させて繊維にくっつけちゃった。そのままだと19世紀あたりにウールの保護コート剤として使われた時のように人体に害が出てしまいますが、そこをクリアしちゃった。
メーカーの依頼でもテストしましたし、雑誌の規格で全社の防臭機能つきインナー比較試験もやりました。
無理やり汗シャツつくらなくちゃいけないから、担当さんに「5枚ずつ着て15分サウナに入れ」って頼むことになりました。全部で30種くらいあったから、担当さん死ぬ思いだったでしょうね。
それで、担当さんの血と汗……血はしみてないけど汗びしょのTシャツを一枚ずつビニール袋に包んで1日放置、それでニオイが出るかどうか。
それでやはりエ○リズムだけは無臭。これ絶対そうだってわかっちゃうくらい明らかに臭気が出ていない。繊維に微生物が繁殖できないから汗の分解腐敗が起こらないんです。
産業技術としては新しい物ではないのですが、使用する目的が全く変わってしかも高性能で無害にさせてしまうのですから日本の技術は凄いものです。
つづく
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