第25話
「壱河学級委員のグルメンってどんな感じ? ちょっと内訳教えてよ」
「オレと、雄二と、三沢と、四葉と五反田。あと二取で6人だ」
「なつ居るの……」
「……え。二取く、二取さんが居るの?」
「ねえ、それって大丈夫なの?」
言ってから気付く。二取がグルメンなのは言わないほうがよかったか?
あやっちとみやちょんが怪訝そうな表情を浮かべながら尋ねてくる。明らかな地雷を踏んだ感覚。踏み抜いてダイナミック宇宙旅行の妄想が脳内に広がりつつある。
冷静さを取り繕い、さながら平然と振る舞う。
「大丈夫って何が? 何か問題があるのか?」
「壱河学級委員……マジ? だって、言ってしまえばあなたがこれまで二取くんだった彼を、二取さんという女の子にしてしまった人物――つまり、黒幕でしょう?」
「そんなヒトとグルメンになっちゃうなんて。二取さんが極めて可哀想」
あやっちとみやちょんの仰る通りだった。ほかの5人はグループを組んでも特に問題ないが、オレと二取が同じ班というのは客観視点、意味が分からなくないか。
まだ二取の正体を公衆の面前に晒してしまったという贖罪の念が晴れないのに、舌の根の乾かぬうちにつるむというのは、だいぶ距離感が終わっている。
「……確かにそうだな。じゃあ、オレが四葉の代わりにそっちの班に入るよ」
「いやいや。賢一くんの居ないグループに入ったってしょうがないってば。折衷案として、なつをみやちょんたちの班に入れれば丸く収まるんじゃない?」
「なんで、なつ? いま関係なくない?」
「いやあ、関係あるくない? 賢一くんのグルメンでしょ?」
「ふーん? なるほどなるほど。そーいう感じ?」
そういえば、三沢と四葉っていま、気まずい感じなんだっけな。
申し訳ないが、すごく分かりやすかった。オレのグルメンを紹介したときも、あからさまに驚いていたし。「なつ居るの……」って感じで。
だからって、ムリに遠ざけようとしなくても。そりゃあ、オレだって三沢のことは秘密を握られているという意味ではあんまり好きじゃないが。――というか、三沢をグルメンに誘ったの、オレだし。
でも、それ以外の面ではわりと好きだ。なにより、親友の幼なじみだし。
「ま。二取さんのことはいいや。彼女が自分で決めることだろうし」
「よっちゃん、壱河学級委員も。残り1人の件はこっちで調達するから気にしないで! よっちゃんは壱河学級委員の班で仲良くしちゃってだいじょーび!」
「そ、そう? なつ、入れなくて大丈夫? あの子、みやちょんたちと深い仲になりたいとか言っていたような気がするけど……?」
「もう良いってば、それ。気まずい感じなんでしょ、なつとよっちゃん」
速攻でバレてるし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます