第8話
「ねえ。ひとつ聞きたいんだけどさ。良いかな?」
「なに? プリンなら購買のふつうのやつを買うつもりだけど」
「プリンはホントにくれるんだ。義理堅いねえ。――って、そうじゃなくって! なんでほたるちゃんはジャージなの? しかもそれ、ゆきのジャージじゃん」
「きみは他人のフィールドにずけずけと入ってくるね。百合のあいだに入り込んでくる
さっきの、覗き魔なつが良い例だ。あのまま無茶を言って、蛍のおっぱいをもぎもぎフ〇ーツしたかったのに、なんとなく視線に気づいて、やめてしまった。
あのとき、無茶を言ってなつの、蛍とは6カップほど違う小さなフルーツをもぎもぎしても良かったのかもだが、二股は最低だし、サイズダウンは単純に物足りない。
「あのさ。もしかして、うんち漏らしちゃった? わたし、保健委員だから保健室に行って、替えのぱんつ持ってきてあげるよ? 形状はどんなのが良いかな?」
「なんで、うんち? 私は別にそういうあれではないけど……」
蛍が失言してしまわないように、こっそり耳打ちで言う。「ごめんなさい、蛍。あたしたちの抜け出した理由を考える暇がなくて、両方腹痛ってことにしていたの」
「両方!? ともすると、だいぶ奇跡に近いあれだけど、道理でいきなりうんちが出てきた訳だね。三沢なつの頭がおかしくなったのかと思っちゃった。元から変だけど」
確かに両方とも腹痛はテキトーすぎた。なのに、それを信じて疑わないなつの純真さに涙がちょちょ切れそう。こんなピュアな子、まだ絶滅していなかったんだ。
「お気に入りのおぱんつを汚しちゃって辛かったんだよね? 分かるよ、その気持ち。わたしも学校でおしっこ漏らしちゃったことがあるんだけど、いきなりだと血の気が引いちゃうよね。トイレでするよりもなぜか気持ちよくなっちゃうけど」
「なにその需要のないエピソードトーク。同情したのと見せかけて、ただの変態COじゃん。おしっこ垂れ流すの気持ちいいのは同意できるけど。お風呂でするおしっこの開放感たるや、最高だよね。三沢なつとはおしっこで繋がれそうだよ」
なにこのお漏らし同盟。少なくとも、JKがする会話じゃない。馬が合わないと思っていた両名だけに、なぜおしっこで分かり合っているんだ。こわ。離れよっと。
「あ! じゃあさ、ほたるちゃん。わたし、映画はエンドロールが流れ終わらないと席を立たないタイプなんだけど、ほたるちゃんはトイレ我慢するタイプ? 映画館で映画を観終わったあとにするおしっこはどうかな? あれ、じょぼじょぼ出ない?」
「三沢なつごときが、ほたるちゃんって気安く呼ばないでってば。映画はエンドロールまでが醍醐味だって云うけれど、まったくもってその通りさ。遠足のおやつ理論だよね。バナナはおやつに入るし、四捨五入で344円までイケるはずだよ」
ふたりの言っていることはいまいち理解に欠けるけれど、あたしも映画のあとのおしっこは、あらゆる放尿シチュのなかでいちばん自由な気がする。自分でも何をほざいているのか、よく分からなくなる。変なブームの波に乗りたくはないのだけど。
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