第25*話
「ねえ、ほたる。なにか悩みごと?」
「……えっ、なにが?」
「なんだか考え込んでいる様子だったから。かなたの言う通り、ほんとにお通じがよくなかったり?」
ゆきに打ち明けるかどうか悩む。彼女は異性と付き合う云々に対し、否定的な見解を持っている。ワタシも、どちらかといえばかなたにアドバイスを求めたかった。
「あっ、うん。球技なら、比較的にゆるやかな卓球が良かったなーって。動きの激しいスポーツはお腹空いちゃうし、汗掻いたら肌に制服張りつくしで嫌なんだよね」
「非常に分かりみが深いわね。なんで3時間目のいちばん怠いときに限って、バスケなのかってことよ。次が国語なのがあり得ないわ。生徒を殺す気満々じゃない」
体育からの国語に対する不満にはゆきに同意する。まったくもってその通りだ。国語から体育ならまだ分かる。お腹の音が鳴っても大抵は誤魔化せるし。
「せめてシャワー室でもあればいいのにね。乙女にとって汗は天敵でしかないからね。清涼剤でも、どうにもなんないところはどうにもなんないし」
「え。不躾なことを聞くようで悪いけれど、かなたって、その……腋臭的な?」
「ほんとに一点の曇りもなく不躾だね、ゆき! 乙女に面と向かって腋臭決め打ちはなくない? 考える余地なしで名誉毀損だよっ! 法廷で再会エンドだよっ!」
ピー、と笛が鳴る。隣のクラスのチームがフリースローで点を決めたらしい。試合を横目に見ながらスコアボードを確認する。7対8。こちらがやや劣勢だが、あまり興味はない。やはり、どうしても放課後のことばかり考えてしまう。
「ってかさー。ゆきとほたるが体育嫌なのって、これのせいじゃないの~?」
「ん……っ、か、かなた……やめっ」
「ゆきもなかなかにナイスボディだけどさ、ほたるのはシンプルに規格外だよねっ! 体育だと、これが無邪気にぽよんぽよんするから嫌なんじゃない?」
咄嗟のことで上手く躱すことができなかった。かなたの魔の手によって、ワタシのそれはふたつ同時に乱暴されてしまう。感度が高すぎるのが良くない。くすぐったすぎて変な声が出てしまった。恥ずかしさで顔を上げることができない……。
「こ、こら。白昼堂々と性的虐待は罪深いわよ、かなた。ほたるも嫌だったら抵抗しなさい。高々に声を上げないと、泣き寝入り必至なのが世の常なんだから」
「性的虐待って、そんな大仰な。女の子同士の性的戯れは尊いからセーフだって習わなかったの? おっぱい揉む程度で18禁にならないのと同じ理屈だよっ!」
「……セクハラおやじの言い訳にしか聞こえないのだけれど」
かなたの執拗な攻撃に耐えかね、どうしようもなく声にならない声を上げてしまう。玩具みたいに弄られるのは好きじゃないのに、なぜだかワタシの身体は刺激を求めてしまっていた。「んぅ……あっ、かなたぁ……やぁあん……っ」
「ちょ、ほたる……その反応、すっごいドエロなんだけど!?」
即座に離された手に寂しさを覚える。そのくすぐったさが心地よかったことに、冷静になったいま、驚きを隠せない。この矛盾した気持ちはなんだろう。気持ち悪い。
「ノンストップで揉まれていたけれど、ほたる……大丈夫?」
「ゆきちゃん……どうして止めてくれなかったの」
「ごめんなさい。ほたるの悶えている姿にときめいちゃったの。それに、声も艶っぽくてどきどきしちゃった。おかしいわよね……女の子同士なのに」
「奇遇だね、ゆき。私もだよ。ほたるの喘ぎ声に興奮して、つい湿っちゃった。どこがとは言わないけど、いますごくおぱんつ換えたい気分だよ……」
かなたにやり返そうかとも思ったが、ちょうどのタイミングでバスケの試合が終わって、ワタシたちのチームの番になった。結果は言うまでもなく負け。
ワタシが足を引っ張り過ぎた。だって、走ると揺れて痛いんだもん。直前までかなたのセクハラハンドによって敏感にされたこともあり、余計に恥ずかしかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます