第9話
冷静に悟らせようとしても、効果はなかった。五反田さんは距離を詰めてくる一方で、柔らかそうな物体Xは、どんどんこちらに迫ってくる。恐怖を覚える一方で謎の高揚感が芽生えてしまう。
「弐宮くんは、このおっぱいに興味があるの? ふふ、さっきからちらちら見てるのバレバレよ。女の子はそういう視線にすぐ気付くんだからっ」
「ご、ごめん……あまりにあれだったから、つい」
「まあでも、あなたの気持ちも分からなくもないわ。だってあなたが見慣れているだろうおっぱいは、あたしのこれよりも、だいぶ小ぶりなものだものね」
五反田さんは両手を沈ませ、自らのそれを弄ぶ。指と指の間から零れ落ちる果実の様子を茫然と眺める。触ってみたい欲が疼くが、それはいけない。
艶のある声を漏らしながら、それでも彼女は両手の速度を緩めない。僕にはそれが何をしたいのかまるで分らなかったが、とにかく目が離せなかった。
「あはっ、その顔最高ね。からかいがいがあるってものよ」
口元を歪ませるだけの笑みをつくって、彼女は僕を嗤う。そこで僕は、五反田さんが僕の初心な反応を見て楽しんでいることに気が付いた。くそう、悔しい。
なんとかして彼女を出し抜きたい。悔しさで満たされた頭で思いついたのは、とんでもなく誤解を与えてしまう一撃だったけど、僕の行動力を舐めないでいただきたい。
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