第20話
「それでさ、七草先生はどうしたと思う?」
「ええと、あの人のことだから注意しなかったんじゃないかしら?」
オレンジ色に溶けた街並みを四人で仲良く歩いていく。自然な流れでふたりの関係を聞きたいので、時間は掛かるけど機会を窺う。なつがいま話しているのは、ぼくらの担任の七草先生と、ヤンキーみたいな生徒が対立したという話である。
そこに五反田さんが相槌を打って、展開されている。たまに賢一や僕が反応したりしなかったりして、まるでただの友だち同士のような会話をしている。
「それがね、なんと普通に注意していたんだよぅ。あんなおっとりとした七草先生がだよ!? 凄くない?」
「静かで地味な見た目の割に、意外と肝が据わっているのね、あの人。ヤンキーに立ち向かう七草先生なんて、激レアじゃないのよ。なつ、撮った?」
「さすがに撮っていないよぅ。盗撮は犯罪だし」
なつの話が本当なら、僕もその瞬間に立ち会いたかった。あの七草先生が生徒を叱るなんて、めったにない――今朝はビンタの件で軽く注意を受けたけど。
七草先生のことはともかく、五反田さんがなつの注意を引き受けているうちに、僕は賢一と話すことがある。男同士の、ちょっとした雑談というやつだ。
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