第18話
「あなたが訊けないなら、あたしが訊きに行くわ。あなたのせいで、ふたりが恋人なのかどうかをはっきりさせないと落ち着かないわ。授業にも集中できないし」
「そ、それはダメだよ。何というか、反則技みたいじゃないか」
「くだらないことで悩み続けるよりも、すぐに訊いて解決させたほうが楽よ、きっと。あなただって、むらむらしているときは我慢しないで慰めるでしょう?」
「でもそれで、ふたりが付き合っていたらどうするのさ?」
「そんなの知らないわよ。ふたりが付き合っていたからって、気取らずに接すればいいじゃない。現にふたりは恋人疑惑があるのにもかかわらず、あたしたちに普通に話していたでしょう? ただの友だちとして」
言われてみれば、確かにそうだ。賢一もなつも、僕たちをまるで普通の友だちと遊ぶように接してくれていた。僕が気を遣っていたのが嘘みたいに自然体だった。
「じゃあ、ふたりは僕のことを友だちとして見てくれているってこと?」
「だからそれをふたりに訊いてみなさいよ。あたしはあなたの知恵袋じゃないわよ」
それなら僕は、変に距離を置かずにふたりの傍にいられる。ふたりが付き合っていようといなかろうと、僕は賢一となつをただの友だちとして見れるだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます