第17話

「弐宮くん。やっぱりあたしね、あのふたりは付き合っているのかもしれないと思うわ。だって、恋人じゃないとできないくらいのいちゃつきだったわよ、あれ」


「そうだよ、ふたりは付き合っているんだ。だから違和感なく恋人として振る舞えるんだ。だって、ふたりは付き合っているんだからさ。それくらい普通でしょ」


「普通、ね……でもその割にあなたは不服そうよ。無理やり納得しようとしているみたいに見えるわ。本当は否定したいのに、否定したら余計に壊れちゃうものね」


「それは、しょうがないじゃないか。だってふたりは僕の友だちで、でもふたりは恋人で……僕はもうどうしたらいいか分からないんだ」


「だったら、直接聞いてみたらいいじゃない。ふたりが恋人かそうじゃないかなんて、もはや推測だけではどうしようもできないわよ。あたしでさえ振り回されているんだから」


 直接聞いて、ふたりが恋人だったときのダメージを想像する。『もしかして、ふたりって付き合っているの?』『うん、そうだよ』『あ、そうなんだ……』


 それからの会話はきっと続かない。気まずいまま終わって、入学当初から続いていた三人の関係は跡形もなく崩れ去る。そんな未来しか見えない。

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