第4話
「はあ、どうすればいいんだ……」
図書室に来るやいなや、そんな本音がため息と同時に、口を衝いて出てしまう。それくらい、僕の精神は疲れ果てていたのだろう。
「どうすればいいって、何か困っていることでもあるの?」
お陰で隣に居た同じ図書委員の
「いやね、実は昨日の宿題がぜんぜん終わらなくてさ」
「それは嘘ね。だって、あなた……朝の当番でもないのに、こうして来ているじゃない。宿題が終わらないのなら、ここでのんびりしている場合じゃないわよ」
相変わらず鋭い観察力をお持ちのようで。五反田さんならもしかしたら、将来は敏腕な女探偵として難事件を解決しているかもしれない、なんて本気で思う。
「はは、五反田さんに嘘は吐けないね。参ったよ」
「それで、何があったのよ。そんな鬱屈とした気分で、この神聖な図書室を穢されたら、たまったものじゃないわ。話してみなさいよ、あたしじゃ力不足かもしれないけれど」
もちろん、オブラートには包んで話す。ありのままを話してしまったら、僕だけではなく、ふたりにも迷惑が掛かってしまう。
ふたりとは単純な友だちではなくなってしまったけど、嫌悪するほど嫌いになった訳ではない。というか、僕が傍に居たら良くないという意味で離れているだけだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます