HARTS-C-156 特殊事案156号 『赤い夜』

《概要》

 HARTS-C-156は2[???]年[?]月[?]日21時~22時にかけて、旧スタニコフ陸奥自治州中央統合本部所在地を中心地として、突如発生した超自然的異変である。



21時3分~ 

 スタニコフ陸奥自治州中央統合本部方面において激しい閃光を伴った爆発音が響くのを、山向うに住んでいた住民数十人をはじめ、アメリカ合衆国の調査機器、鹿島県日本軍駐屯地等で確認した。


21時7分~ 

 最初の爆発音から数分の間を空けて、比較的小さな爆発音が断続的に鳴り響いた。


21時10分~ 

 爆発音は継続し、また付近の農夫の証言によると、地滑りが発生した時のような地鳴りと轟音を聞いたとのこと。実際、その後の調査で付近の山肌が崩れる、抉られるなどの痕跡が確認されている。


21時20分~ 

 断続的な爆発音はまだ続く。

 この頃、旧スタニコフ陸奥自治州統合本部からスタニコフ連邦本国へ送信されたとみられる通信を鹿島県日本軍駐屯地にて傍受、その内容は実験の失敗によって異常事態が発生し既存の兵力では発生した脅威を排除不可能であり、至急本国から霊的戦闘に特化した救援部隊を送るようにとの要望であった。通信の中では、脅威が二つ以上ある事を匂わせる言動も見受けられた。通信は本国の返答を待たず途絶している。


21時30分~ 

 連合国軍が鹿島駐屯地から無人ステルス哨戒機を数機発進させ、全機コンラート防衛線を突破、40分頃旧スタニコフ陸奥自治州中央統合本部付近に到達するが、搭載されたカメラが強烈な赤い閃光を確認した途端、哨戒機は全てロストした。


21時40分~ 

 未だ断続的な爆発音と閃光が確認されるなか、旧スタニコフ陸奥自治州統合本部方面の上空が俄かに赤く発光し始める。数分後には赤色の発光は明るさを増し、周辺地域のみではなく壁を挟んだ西側方面や、また富士山頂、箱根山などからも確認された。


21時50分頃~ 

 爆発音と閃光はこの頃ふいに途切れ、なおも赤い発光のみが確認される。その後、特筆すべき事は無く、赤い発光も55分頃をピークに弱まっていき22時10分ごろには消滅した。



 一連の現象の後、旧スタニコフ陸奥自治州中央統合本部は消失し、首脳陣と指令系統を失った陸奥自治州政府は事実上崩壊。その後の連合国軍と日本軍の進軍に対しても大きな抵抗もせずまもなく完全に解体されるに至る。

 連合国・日本国両軍による進軍のさい、中央統合本部跡地に向かった兵らが体調不良を訴えその後数人が死亡。このことから当初、中央統合本部において行われた核実験が失敗したことによる核爆発・核汚染が疑われたが、後の調査では核物質等は付近からは一切検出されず、その後[検閲済み]庁の職員によって行われた調査によってスパギリー放射物汚染が発覚した。

 赤い夜の後に拘束された陸奥自治州の政府関係者らに対する調査ではHARTS-C-156に直接関連する情報は明らかにならなかったが、調査を進めるうちにHARTS-C-156の原因は中央統合本部に設けられた理化学研究所内にあったことが分かり、現状、そこで行われたCRC財団日本支部特殊事案560号(HARTS-J-C-560)が直接の原因であると推察されている。

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