HARTS-002 『マイアの揺籃』
UVL:9
SL:9
ML:6
AL:1
《保管方法》
厚さ20cm以上の純度の高い固形状テレクステロン絶縁体(或いは鉛とタングステンの合板)で囲んだ一辺20m程度の立方形の個室を用意し、構成材である固形状テレクステロン導体の劣化を防ぐため、別途、超純水で満たした縦横それぞれ5m、深さ3m程度のプール(材質は問わない)を部屋中央に設置し、1日ごと水を交換しながらプール内部にて保管する。
HARTS-002によるHARTS-001の冬眠状態維持はHARTS-001自体から供給される[検閲済み]を還元して恒久的に行われるため、特別なエネルギー源の補給の必要はない。
HARTS-002内部における[検閲済み]循環のメカニズムは[検閲済み]博士の研究によりある程度の解明は為されているものの未だ不明な点も多く、[検閲済み]のなんらかの不具合によってHARTS-001の冬眠状態の維持が困難となる可能性があるため、SPG適正値の高い職員や生命体、電磁放射量の多い機器を近づけることは避けることが求められる。
《説明》
HARTS-002は縦2.2m、深さ50cm程のコフィン型の棺状の物体である。
材質はHARTS-023と同位体とみられる固形状テレクステロン導体が主で、その他銀や銅による簡素な装飾が施されている。
HARTS-002が製造されたであろう年代にみられる棺にしてはやや特異で、上蓋に小窓が設けられ棺内部の様子が窺えるようになっており、HARTS-002に類似した遺物であるHARTS-144,256,258には見られない意匠である。
内部は無色透明の液状の物質(HARTS-144-pと同様とみられる)で満たされており、類似遺物であるHARTS-144,256,258の内容物の調査結果ではこの内容物は液状テレクステロン導体であることが確認されている。
HARTS-002の上部はHARTS-144,256,258と同様に密閉構造かつ開閉可能にもなっているが、HARTS-144,258と同様、上蓋外枠部に鉄製の釘のような物が無数に打ち込まれており、従来の開閉機構は使用不可能となっている。釘状の物体に関しては、HARTS-144,258における放射性炭素年代測定法による調査結果がHARTS-002にも適用されるとするならば、これら処置はHARTS-002内部にHARTS-001が収められたであろう時よりも更に数百年後(??世紀~??世紀)に施されたものであると考えられる。
HARTS-002内部の液体HARTS-144-p(推定)は、HARTS-144から採取された液体の調査結果から、[検閲済み]と[検閲済み]と[検閲済み]からなる不活性の化合物であることが確認された。この液体内部で哺乳生物は液体呼吸が可能であり、かつ[検閲済み]に媒介されるテレクステロンの循環的作用により、生命体の細胞分裂活動は著しく抑制され、あたかも恒久的な冬眠状態に陥ることが明らかにされた([検閲済み]博士の研究報告を参照)。
類似遺物は先に挙げたHARTS-144、256、258の他に、HARTS-129、130、279、380、1059、1060、1061、1062、1063があるが、後者の9遺物のうち129、130、380の3遺物は棺状ではない比較的小型のもので、残る6遺物は大きく破損しており内容物も既に欠損したものとみられている。
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