第11話
時刻は3時。車の窓を半分ほど開け風を感じながら車を走らせる。一つ高台を越えると左手に海が見えてきた。太陽の光を悠然と反射していて直視できないほど輝いている。黒く細かい島々が不可思議な模様のように散見される。広斗は窓に手をかけ、目を細めながらその景色を眺めている。
なんか2人とも何をしていいかわからずに現実逃避しているみたいだ。
ボーっとしながら車を走らせていると目的地のホームセンターが見えてきた。
周囲には衣料品店やスーパーマーケットも併設されてる。
中型の複合商業施設ってとこだろうか。とりあえずなんでも揃いそうだ。
しかし今の自分にはあまりにも何もない。この状況からいったい何を購入すれば良いか。何から購入すれば良いか。
スマホのメモのページを開いて書き出してみることにした。
思いつくままに打ち込みを開始する。
広斗は不思議そうな、興味がありそうな顔をして私の作業を注視している。
「えーと。」広斗にも話しかけるように声に出しながら指を滑らせる。
「まずは…ご飯!」「と、飲み物!」
「こっちが先だよな!」メモじゃなく完全に広斗に話しかける。
「ごあん!ごあん!」ニコニコしながら答える。
まずは腹ごしらえが先だ。見渡すとホームセンターの中にフードコートらしきものが見える。車を降りると広斗を抱きかかえホームセンターに向かう。
あ、まずい。その前に必ず購入しなければならないものがあった。広斗の靴だ。
銀行程度ならともかく買い物をしてまわるのに靴がないのはさすがに大変だし怪しい。先にホームセンターの横の衣料品店に向かうことにした。
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