第10話

金が手にはいったことで、多少落ち着いた。だが色々買い物が必要だ。腹も減ってるし、のども渇いてる。広斗もきっとそうだろう。

まずはコンビニでも探してみるか。郵便局の周囲は特になにもない。一軒家やアパートが点在しているがお店のようなものは特に見当たらない。だが微かに磯の香りがするような気がする。海が近いのだろうか?

道路は普通の片側一車線だが、通りとしてはそこそこ太いから適当にに進めばそれなりの店にはたどりつけそうだ。

車にナビはついていない。だがスマホがある。ナビアプリを開いてまず現在位置を確認する。なんか地形がごちゃごちゃしていて良くわからない。だがやはり海は近いようだ。そういえば佐世保が戦時中軍港として栄えたのは、その入り組んだ地形が理由だったと聞いたことがあるような気がする。まあ今はどうでもいいが。というより思い出したいことがたくさんあるのに全く余計な記憶だ。

一番いいのはホームセンターだろう。ホームセンターなら一応何でも揃いそうだ。今思いついてないものも見れば気がつく。

アプリにホームセンターと入力し検索する。候補が3件でてきたがどこも記憶がない。どうも地理的なことに関しての記憶が一番無くなっているようだ。

とりあえず一番近いところを指定してナビをスタートさせた。車なら5分ぐらいでつくようだ。スマホををドリンクホルダーに立てかけるとエンジンをかけた。

広斗はナビの画面と私の顔を代わる代わる見ている。

だが、言葉は発しない。なにか思うところがあるのかもしれないが一切想像できない。



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