第7話

靴を履こうとして気がついた。子供抱えただけで財布すら持ってない。まだ色々混乱してるようだ。

一旦玄関で子供をおろす。

「財布、財布」

部屋に戻ると子供もニコニコしながらついてくる。

そういえば財布の中には3000円しかなかった。これでは心許ない。

「あ、通帳!」そう、さきほど銀行の通帳を見つけたんだった。

再びタンスを開けると通帳を手に取る。さっきは引き落としにしか目がいってなかったが残高を確認する。

「よしっ。」まだ120万ほど残っている。良く見るとカードも挟まってる。しかし暗証番号なんか覚えていない。思い出せない。こうしてみると覚えてること思い出せること。規則性がなくてバラバラだ。あとでノートでも買って書き出してみよう。

タンスの奥を探ると幸いなことに印鑑があった。たぶん銀行印だろう。

時間はまだ2:30だ。窓口でも金を下ろせる。足元に抱きついてる子供を左手で寄せながら、とりあえずさっきのナップサックに財布、通帳、印鑑そしてスマホを無造作に放り込んだ。そして再び子供を抱えると玄関に向かった。子供の手はしっかりと俺の首に巻きついてる。子供の抱き方とかよくわからないけどきっとこれでいいのだろう。

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