第116話 これはまさしく犬の糞なのだけれど
今朝がた、通勤途中に犬の糞が歩道に堕ちているのを僕は見ました
猫はこんな路上にはしないので、犯人は犬です
そして野良犬なんかこんな都会にはいないので、それはやはり飼い主が処理し損ねたか、あえて道端に放置したのか、大きさから言って小型から中型犬のやや硬めの糞です
踏まなくてよかった
でも、僕はそんなことよりその形に興味をそそわれたのでした
その糞の形は、男性器のそれを見事に形取り、成熟した大人のサイズにほど遠いいですが、先端部分の形状、長さ、そして睾丸に見えてしまう二つの塊
うっかりするとインスタ映えしそうなタイニーサイズのおチンポ様は、黒く光りながらいきり立ちながら、横たわってございました
ここまで駄文に付き合っていただいた方、ありがとうございます
さて、ここからが本題
僕はそれが面白かったので、写真にとることを考えました
しかしまぁ、朝から犬の糞をアップするわけにもいきません
一つには飼い主に対して、これはアカンやろう!
という老婆心とでもいうのでしょうか、或いは正義感?
そんなものは微塵もなかったので、勘違いされたくなかったから
一つにはうんこだから
そんなものは人に見せるものではありません
そして最後にちんこだから
形がちんこに似ているからと言って、大根やニンジンの画像を上げることはできても、それがうんこでは、どうしようもありません
そこで僕は考えました
モザイクにしてアップしようかと
しかしながらモザイクの画像をアップした場合、それはいったいぜんたい、何を隠し、誰に気を使う行為なのかと言うことが気になって仕方がない
それはうんこだからモザイクなのか
それはちんこだからモザイクなのか
店の前に捨てられた排泄物だからなのか
そのどれもが正解であり、モザイクという嘘に隠された真実は写真だけでは正確には伝わらないということに気付いたのです
世の中に報道されている味噌も糞も一緒になっている情報
隠したかった物、実際に隠れた物、うっかり見えちゃった物、それらの情報から見る側がどう受け取るのか
或いは拡散した人が、どこまでわかっていて、それをシェアしたのか
ミスリードはあったのか、なかったのか
結局のところ、それを正確に伝えるには、絵や映像だけの情報というのは、表面を映し出しているだけで、時として本質を知るための妨げになる可能性もあると認識しておく必要が、今の時代、大いにあるのかなぁと思った次第です
”言葉をよく使う者、知ることと解ることと、それを用いることの違いを知る”
僕は嘘という物は悪ではないと考えています
嘘は道具であり、真実を知るために必要な対峙する同質かそれに限りなく近いもう一つの真実
それが嘘だと思っています
嘘から出た真があるのなら、真実から生まれる嘘もある
僕がちんこの形をしたそれを”放置された犬の糞”だとここで書いたことは真実かもしれません
しかし、もしかしたら僕が通り過ぎた後、飼い主が処分しに来たかもしれません
うっかりティッシュやビニールをどこかに置き忘れたのかも
それに僕は見た目でしか判断していないので、実は作り物だったかもしれない
僕がそれを見た場所は有名な雑貨店のすぐそばで、そのお店には一風変わった物が売っています
もちろん”ちんこのかたちをしたうんこの置物”なんて商品ないとは思いますが、それは僕が勝手に必要のない情報として、前段では語らなかった部分です
もし、その情報を入れていたら、読み手の何人かは、それは作り物ではなかったのかと考えるかもしれません
事実がすべて真実を表すとは限らないし、意図せず、不要だと思って流さなかった情報に真実が隠されている可能性もある
では嘘はどうでしょうか?
人は必要のない嘘はつかないのではないでしょうか?
では”嘘の影には必ず真実がある”のか?
隠そうとした真実が、実は嘘かもしれないし、人は時に故意に、時に無意識に真実を隠すのかもしれないし、嘘を受け入れるのかもしれない
人類最大の嘘は神の存在であり、しかし、神という嘘を信じることで、人は良く生きるのであれば、それは罪なのか、悪なのか
まるでこの世に神などいないと、僕が罰当たりなことを言っているように聞こえるかもしれませんが、あなたの信じる神がいて、別の人が信じる神がいる
その神は嘘っぱちだと、あんたが言うのであれば、やはり嘘の神様というのは存在することになる
何事も受け入れることこそ、真実に近づけるのではないだろうか
よりよき、器になるために、非想、非非想なんてややこしいことを求めたりする
世の中、嘘ばっかりという真実を好むのか、好まざるか
それと神を信じることに、それほど差異があるとは僕は思わない
故に道端に堕ちている犬の糞の中に、真実を解き明かすカギがあるのではないかと、いじくり倒してしまう性分なのでございます
では、また次回
虚実交えて問わず語り
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