第99話 ビール、ワッフル、チョコレート、青い鳥、パトラッシュ!

 いやー、すごい試合でしたね

 しかしまぁ、これがサッカーです

 日本対ベルギー 守って、奪って、追いつかれて、最後に世界との差を見せつけられた結果となりました


 イタリア人ザッケローニ体制から引き継いだのはメキシコ人のハビエル・アギーレ監督

 僕はかねがね日本はメキシコのサッカーに学ぶべきだと思っていたのでこれは喜ばしいことだったのですが、ご存じのとおり彼は半年で解任されることになります

 次に少数されたのはヴァヒド・ハリルホジッチ監督――旧ユーゴスラビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ出身でフランスの国籍を持つ彼は、結果的に日本に何をもたらしたのかという疑問の中で大会2か月前に解任され、西野JAPANが誕生する


 嗚呼、また”~JAPAN”とか言っちゃうのか、もうやめようよと思いながらも日本サッカー協会もえらい賭けに出たなぁと、そしてそれだけ追い詰められている現場という物を理解しました


 この状況はなんとなくオカちゃんこと岡田武史監督が指揮をとった流れに似ていて、良くも悪くも期待感が高まります


 日本の相手は前回大会でコテンパンにやられた南米コロンビア、アフリカからはセネガル、欧州からはポーランドという正直、グループ突破は至難の業、三戦全敗もありえると僕は考えていたんですけどね


 コロンビア戦はサッカーの神様の悪戯と勝利の女神の気まぐれでワールドカップで初めて南米のチームから勝ち点3をもぎ取り、セネガルからは2対2と言う僕が想定した中で一番いい形で勝ち点1を取ることができました


 そして引き分け以上で決勝トーナメント進出ができるという条件を整えて挑んだポーランド戦

 サッカー史上語り継がれるかもしれない問題の試合となりました


 勝ち点、得失点、総得点でセネガルと並び、尚且つ直接の対戦も引き分けの場合、今までのルールであれば『抽選』でトーナメント進出が決まるというとんでもない事態になるところでしたが、こんなこともあろうかとFIFAはフェアプレイポイントという新しいシステムを導入しました

 簡単に言うとイエローカード、レッドカードの少ない方を優位とするルールなのですが、このルールが導入されたのには、今回導入されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)というビデオ判定が加わったことも大きいでしょ


 いわゆる公平性が機械的に担保されたからではないでしょうか


 そんなわけで、侍ブルーは世界のサッカーファンから非難を浴びるようなパス回しをして他力本願の勝負にでるわけです

 いろいろと物議をかもしましたが、僕から言わせれば、抽選で決められるよりかは納得性がある・・・つまり公平に各チームに与えられたルールなのだから、使って何が悪いのかと思うわけです


 ”ドーハの悲劇を忘れたのか!”


 僕は思わずそう、言わずにいられませんでしたね

 そしてアタランタオリンピックでブラジルから勝利を収め2勝してもトーナメントに進出できなかった経験のある西野監督しかふるうことのできない采配に敬意こそ感じても、批難する気に等なれませんでした


 そして皮肉なことに、ポーランド戦でできたボール回しをベルギー戦で2点リードしているところで、選択はできなかったのかと、サッカーの神様はなんと尊大で狡猾で公正で不平等なのかを思い知らされることになりました


 日本にはまだ経験が足りない


 そりゃあそうです

 だいたいベルギーみたいな圧倒的格上相手に後半立ち上がりで2点リードしている状況なんて、日本人の誰一人経験していないのですから


 サッカーにはその瞬間、その瞬間に無限の選択肢があって、その組み合わせ、流れ、勢い、躓きで勝負が決まっていくスポーツです


 ”ボールは友達”

 いやいや、そうじゃない

 ”ボールは丸い”

 これが真実じゃないですかね


 ”トモダチ ナラ アタリマエ!”

 なんてことはないのですよ


 キャプテン長谷部選手の試合後のインタビュー

 ”言葉を選ぶのは難しい~~~小さなミスの積み重ねが~~~手応えよりもやはり失望というか、悔しさが上回っています”


 そして西野朗監督の試合後のインタビュー

 ”本気のベルギーに対抗できなかった”


 日本が予選敗退が決まった本気にはならないだろうポーランドとの戦いで恥を選び、本気のベルギー、優勝候補と言われるまでにチームを作り上げてきたベルギーという国の本気を引き出し、当たり前に負けたということは、大きな財産になったのではないだろうか


 大会期間中に耳にしたサポーター、ファンと言われている人の言葉

 ”大迫半端ない”

 ”西野さんごめん”

 ”本田さんごめん”

 ”川島さんごめん”


 嗚呼、もうその時点で勝てる気がしないのよ


 サッカーっていうゲームのリアリズムに日本国民はもっと触れるべき

 そして、2018ロシア大会は、まさにリアリズムの大会だったと思う


 クリスチアーノ・ロナウド、メッシ、スペインがベスト8に残れないのがワールドカップ

 ドイツ代表が予選リーグを突破できないのがサッカー


 ウルグアイ、フランス、ロシア、クロアチア、ブラジル、ベルギー

 そこに続くのはスイスかスウェーデンか、イングランドかコロンビアか


 新時代の幕開けなのか、それとも古豪が意地を見せるのか


 では、また次回

 虚実交えて問わず語り

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る