飲まずにいられないあなたと、飲ますあなたと
第77話 男と女と、良い酒と悪い酒と
4日も間を開けてしまったのは、まぁ飲んでしまったからにほかならず、本当にどれだけ酒が好きなんだか、いやいや、酒の方がこっちに愛想をつかすのではないかと、そんなことを考えてしまうのですが、でも、どうやら、僕は今のところお酒には愛されているようで何よりです
酒との付き合いを考えるに、両親が晩酌をしているのを見て、よほどビールというのは美味しいに違いないと、泡だけを味見してあまりの苦さに涙目になったことが、まぁ、最初と言えば最初であろう
ウヰスキーボンボンも苦手でした
世の中のニュースには酒によって乱暴を働いたなんていう事件が報じられたり、映画やドラマの中でも、登場人物が酒におぼれてダメになるシーンなんかを見ては、そういう大人にはなりたくないと思ったものです
それが中学生ともなるとまた違って見えてきます
僕の住んでいた町は都会でも祭りの盛んな地域で、そういうところは、中学生が大人神輿を担ぐようになると、その日は大人の扱いを受けて、酒と付き合います
あいにく僕は祭りに参加するような素養を持ち合わせていなかったというか、出遅れたというか、地域の大人たちとの交流を持たなかったのですが、その代わりに自分たちで”酒なるもの”とどう付き合うべきなのかについては、『カクテルの作り方』などという本を買ってきては、”酒との付き合い方”の予習をしていたわけです
まぁ、つまりは大人の真似事がしたかったわけですな
そしてだいたいそういうメンバーが集まって悪さがこっそりできるようなたまり場があるわけで、僕らはクラスの女の子を誘って”正しい女性との接し方”や”お酒と10倍楽しく付き合う方法”などを学んだのでした
それでも僕にはビールというものがども苦手で、子供の頃に味わった苦味と炭酸でお腹が膨れる感じがどうにも好きになれませんでした
もっぱらリキュールと焼酎をカルピスで割ったり、ウヰスキーをコーラで割ったりする”いい加減”を研究するのが特異でした
トリス、レッド、ホワイト、角、ダルマにロイヤルとまぁ、実にいろんなものを試したものです
ただし、研究費が潤沢に在ったわけではないので、もっぱらそれぞれの家に貯蔵されている品々を拝借していたわけで、そうそうそれに手をつけるわけにも行かず、ついつい手ごろに手に入る安いお酒――トライアングルやトリスがメインになり、そういうお酒での実験では、ついつい分量を過ぎてしまい、ぶっ倒れることしばしばなのでございます
まぁ、自分のことは何とかなるんですけどね
下手に女の子に量を配分すると後始末がいろいろと大変なのです
そこで学んだこと
何事もほどほどに――飲むのも、飲ますのも
では、また次回
虚実交えて問わず語り
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