第76話 禁忌を犯した者~狼男の咆哮
西洋三大モンスターのうち、ヴァンパイアとフランケンシュタインの怪物について語ってきましたが、トリは月を見て変身する狼男のお話
どうでしょうか?
やっぱり狼男は他の二大モンスターと比べると力負けしているというか、弱いとは言わないまでも、なんとなく下に見えてしまいますかね?
前述のモンスターが文学的、SF的な知的好奇心をくすぐるような生い立ちを持っているのに対して、狼男と言うのはどちらかと言うとドラキュラやフランケンシュタインの映画がヒットした流れで生まれた”とってつけたような怪物感”があるように見えちゃいますかね
でも、実はそんなことないんですよ
<狼男の呼称>
ウェアウルフ(英語: werewolf)、ワーウルフ(同)、ヴァラヴォルフ(ドイツ語: Werwolf)、ライカンスロープ(lycanthrope)、リカントロープ(同)、ルー・ガルー(フランス語: loup-garou)、ウルフマン(wolfman、現代の創作作品に限定されて用いられる)
(wikiより)
どれもなんとなく聞いたことがありますかね
実は狼男は魔女と同格の存在であり、ヨーロッパにおいてはその存在が現実社会で信じられ、畏れられていた存在なのです
”魔女狩り”とは、悪魔に魂を捧げた呪術を使い、人の世に災いをもたらす女を社会から排除する社会的システムであったことは、暗い歴史の事実として学校で学んだことだと思います
法律的に魔女裁判が完全に廃止されたのは近代になってからで、神への信仰をより高めるための小道具として、しばしその悪名高い裁判や拷問や火あぶりによる極刑が執り行われてきました
それは異教徒、異文化、信仰心への冒涜、禁忌を犯した者への報復と時代や場所によってさまざまな側面がありましたが、さて、何故魔女なのかと思いませんでしたか?
確かに圧倒的に女性の方が”魔女狩り”の被害にあった犠牲者数は多いのでしょうが、そこに男性も交じっているのです
そう、女性は魔女になり、男性は狼男になると信じられていたのです
どこか滑稽に思うかもしれませんが、日本に置き換えた場合、それは”鬼”ということになるでしょうか
狼の姿をした人間と、角が生えて、牙をむく鬼
西洋からしてみたら、鬼のほうこそ、滑稽に見えるのかもしれませんね
そもそも西洋では童話の悪役は狼か魔女と決まっています
日本に魔女は登場しませんが雪女や山姥は、鬼女と考えることができますね
どうです?
狼男に対するイメージが少しかわりましたかね?
”あっしは~でガンス”とか言っている方が可愛らしくはあるかもしれませんが、彼もまた禁忌を犯した忌むべき存在であり、その闇は他のモンスターと比べて見劣りするどころか、先輩格にあるのです
そして満月に向かって咆哮する、銀色に輝くケモノの姿を想像して下さい
狼なんて怖くない?
あなたも 狼に なりますか?
では、また次回
虚実交えて問わず語り
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