第66話 言葉は世界を動かす

 為せば成る、為さねば成らぬ、何事も

 成るようにしか成らないからといって、何をしてもいいということではない

 何をしても駄目ということは、何をしてもいい

 世界は誰かの望みを必ず一つ以上叶えているという意味において絶望は存在しない

 すなわち世界から争い事は消えることがない――これを絶望と言う


 つらつらと勝手なことを並べてみましたが、どうでしょう?


 これらの文章のどれか一つでもあなたの気分に近い物がありますかね

 物事のスタートラインに立っている人

 志半ばで、方向性を迷っている人

 行きづまり打開策を求めている人

 人間関係に疲れている人


 僕は啓蒙もしないし、励ましもしない

 ましてガンバレなどという言葉を乱暴に掛けたりもしないし、大丈夫だよと嘘も言わない


 だいじょばない

 頑張らなくていい

 僕の言葉に耳を貸さなくてもいいし

 諦めることを諦めろとも諦めるなとも言わない


 僕は僕が目で見て、耳で聞いたことを、頭で考えて、心に照らし合わせて、そして言葉を紡ぐ

 書き記した言葉はもはや僕の物ではなくなり、あなたの世界の物になる


 どうかその言葉を可愛がって、面白がって、いじくりまわしてほしい

 そこにあなたの考えや思いが加わることで言葉は生きる

 生きた言葉は力になり、力はあなたを動かすでしょう

 或いはあなたの世界を動かすでしょう


 すなわち言葉は世界を動かす


 人々にありがたられる言葉というのは、数多ありますがそれらの言葉には世界を動かす力はありません


 なぜならそれはあなたの言葉ではないからです


 世界を動かす言葉を手に入れるには、あなたは言葉を選ばなければならない

 そしてその言葉を自分に向けて使わなければならない


 ”為せば成る”と信じて前に進むのか、”為せねば成らぬ”と己を叱咤するのか、”何事も”は、どこまでが適応範囲なのか

 何を持って”為す”と言い、何を持って”成った”とするのか、基準を決めるのはあなたです

 そしてあなた以外の第三者に宣言をするのです


 これから何を行い、それによって何を得るのかを


 世界を動かすために必要なことは定義と客観的な視点の設定を言語化することです

 設計図、或いは仕様書、行動ルールができあがれば、それに従い行動すること


 言葉はあなたに命令するでしょう

 あなたはその命令に逆らうことはできません

 なぜなら、あなたが選び、あなたが設定し、あなたが命じるのですから


 と、このようにして、僕が執筆している創作物のキャラクターは作られていきます

 あとは彼らが勝手に物語を進めるのです

 僕は彼らがどう動いたのかを言語化し、時に時系列をいじったり、カメラの視点を切り替えたしして、観客の気を向けたり、そらしたり、演出をします


 はたして物語の世界と、現実の世界には、いかほどの違いがあるのでしょうか?

 それはあなたが是非試してみてください


 では、また次回

 虚実交えて問わず語り

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