第65話 虚実交じるこの世界は美しい

 確信を持てないことは、なかなかやりづらいし、言い切れない


 そんな時は流れに身を任せてみるのもいいでしょう

 とことんまでもがくのもいいでしょう

 立ち止まるのもいいでしょう


 決断したあなたはいつも正しい

 決めきれずにいるあなたもたぶん正しい


 なぜなら世界は一つではないからです


 ここにこのようなこと――人生観、価値観、恋愛観、妄想に仮説に妄執に暴論をこの場に執筆するようになり、僕の世界はまた姿形を変えて行きます


 この世界には僕が”エッセイ的なものを書かないという選択肢”があり、そのルートの僕と、今こうして執筆している僕――これを読んでくれているあなたとは出会わなかった僕と出会った僕がここにいるのです


 故に世界は一つではない


 あなたは世界を持っている

 僕も世界を持っている

 そのふたつの世界が交わる主観と客観が交じった世界が、今、僕とあなたが共有している世界なのです


 これは嘘です

 なぜなら世界は一つだから

 過去も未来もない、リアルな現実としての世界はこの世に唯一無二の存在


 でも誰もそれを証明することはできない

 故に人が正しく認識するためには嘘という仮定が必要なのです


 ”僕とあなたが見ている世界が美しいのであれば、この世界は美しい”


 なんででしょうね

 エッセイなんだから、もっと気負わず”普通な日常”をかいつまめばいいものを、僕にはそういうことができないのか、できないようになっているのか


 僕は最近一冊の本、ひとりの学者に出会いました

 ショーペンハウアーというドイツの哲学者の著書『意志と表象としての世界』


 この本と出合ったのはツイッターで、僕が気に入っている女性シンガーソングライターのつぶやきがきっかけでした


 ”ブライに似ている”


 ブライとは竜を探す冒険RPGの4作目に登場する格闘家のおてんば娘アリーナ姫のお目付け役じじい魔法使い・・・つまりドラクエ4の魔法使いに容姿がどことなく、かなり似ているという話


 彼女がショーペンハウアーについて知っていたりその思想に関心があったり共感をしていたりはわかりませんが、僕はそれをきっかけに彼と彼の著書について調べました


 その著書は僕にとって――僕の中で形成されつつある『この世界のあり方は主観と客観の両方から観察した結果を”正しいと世界のありよう”と仮定して作られた虚構である』という哲学的思想というよりは、”だからこそ何一つビビる必要はないし、人生はもっとナメて掛かるべきで、それゆえに日々は真面目に過ごすべきである”という”生き方論”或いは”死に方論”を体系的まとめ上げる助けになる著書――であると”直感が囁いた”のです


 攻殻機動隊的に言えば”ゴーストが囁いた”わけです


 そしてすべては繋がる


 僕がこの本に出会うきっかけとなったいくつかの事象は、今、こうして連休中に書くことをためらっていた――確信を持てないでいた僕に、書くきっかけを作ってくれたのは・・・


 このダイナミクスを紐解き、多くの人と、この世界を共有したいし、それによってきっかけを与えてくれた人々、読んでくれたあなたの肩の力を抜いて、拳を強く握る助けになれたら、これ至極でございます


 では、また次回

 虚実交えて問わず語り

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