プログレッシブな憂鬱とシンプルな恋
第58話 プログレッシブ・ブルース
人間なんて、朝起きて糞して、飯食って、働いて、また飯食って、風呂入って、営んで、寝る
それだけのことだけど、なんか文句あるかこの野郎っていうのがロックだとしたら
だから楽しくやろうぜ
っていうのがロックンロール
そんな日常の中にもこんな出来事がありました
っていうのがフォークやフォークロック
そんな日常ぶち壊せ
っていうのがパンクやヘビメタ
という、ざっくりした括りをするならば、僕のスタンスはきっとそのどれでもなく、プログレッシブ・ロック(*1)なんだろうと思う
また、このおじさん、また、わけの分からんこと言い出したなとか思わないでね
音楽も人生も根っこはシンプルであり、人の心を揺さぶるような音楽というのは、メロディ、ハーモニー、リズムの三要素(これにベースを加え四要素とする考えもある)で構成され、黄金率はとっくの昔に発見され、そしてあらゆる形で再利用、再生産されている
人の人生もやはり、あるべき姿というのはシンプルである
食う(仕事、食い扶持)、寝る(住居、安らぎ)、遊ぶ(余暇、好奇心)が充実していれば、恋の手ほどきを誰かにしてもらわなくても、リア充になれるのだと思う
僕は誰かを好きになってその人と添い遂げるというシンプルな人生を送ることもできたはずなのに、どこで、どう間違えたのか、僕の好きは、まっすぐではないのである
つまり歪んでいる
外見的要素――容姿や雰囲気や所作や佇まい
これに対して内面的要素――認識、思考、宗教観、死生観、倫理観、道徳観
これらを総合的に判断して伴侶を求め、一番ふさわしいと思う人を好きになり、愛を育み、生きることを共有できれば、それはきっと素晴らしい人生なのだと思う
最大公約数なのか、公倍数なのかはともかく、どうやらその作業は僕にとって相反する命題を両立させるに等しい、困難なことだと気付いたのは30手前、結婚する直前くらいに、ちょっとした出会いと別れがきっかけだった
それまでは、歪みや歪(いびつ)さや、背徳や、嫉妬や、肉欲や、占有欲というのは、できる限り是正、更正、粛清されるべきものであって、秘めて、隠して、しまいこむものだと思っていました
しかし、それも含めて――いや、それがあるから自分という存在は、他の誰とも違う個体であるのだと、理解し、時にまっすぐにそれを表に出すことが、視野や交信チャンネルの拡大や考えの奥行きや思いのおおらかさに繋がるのだと理解した
正確に言えば、仮説を立てて実践するようになったのです
人生において仮説を立ててそれらを実験し、様々な可能性を探るなんていうことは、まるでシンプルじゃないです
ロックンロールはそんなことはしない
僕はロックンロールでもブルースでもフォークでもなく、型にはまったクラッシクでも様式美のハードロックでもない
何かを壊したいというアナーキーな衝動もなければ、Be Alrightと気楽にステップも踏めない
感じたままにアートを表現したり、サイケデリックな夢も見ない
肉体を武器にマッチョでゴリゴリな重低音にあわせて頭を振るでもなく、テクニカルな演奏を極めようとも思わない
ひとつの価値を信じないといっておきながら、それでもロックに憧れを持つ
プログレッシブロックが、一番居心地がいいのです
いやだねぇ、本当
では、また次回
虚実交えて問わず語り
注釈*1
プログレッシブ・ロック(英: Progressive rock)は、1960年代後半のイギリスに現れたロックのジャンルの1つ。
実験的・前衛的なロックとして、進歩的ロック、クラシック的ロック、アート・ロック、前衛ロック、実験的ロックなどの概念を包括したジャンル
シングル用の曲作りから、アルバム志向で音楽作りをしたと考えるバンドが多く、1曲は長いまたは曲間がなく繋がっている組曲になっていることがある。
特徴
アルバム全体を一つの作品とする概念(コンセプト・アルバム)
大作・長尺主義傾向にある長時間の曲
演奏重視で、インストゥルメンタルの楽曲も多い
技巧的で複雑に構成された楽曲(変拍子・転調などの多用)
芸術性を重視した曲作り
クラシック音楽やジャズ、あるいは現代音楽とのクロスオーバー・ミクスチャーを試みたものも多く、高度な演奏技術を有する
シンセサイザーやメロトロンなどといった、当時の最新テクノロジーを使用した楽器の積極的使用
日本に於ける一般的な略称は「プログレ」
(wiki)
プログレでよく知られている曲
プロレスラー ブッチャーの入場曲
ピンク・フロイドの『吹けよ風呼べよ嵐」
ワールドプロレスリング(新日本プロレス)のテーマ曲
Emerson Lake and Powell - The Score
テレビアニメ『ジョジョの奇妙な冒険」のEDテーマ
YES - Roundabout
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