第57話 鉄板の上の恋とアンバランスな因果律
アンバランスな状況・・・一般的に嫌な予感しかしないと思いながらも、僕はのこのこと顔を出すのでした
因果律と言う言葉があります
”因果関係”とか”因果応報”とか”何の因果か”のあの因果――物事には必ず原因と結果があるという考え方ですね
僕としてはその因果律から逃れるために、悪魔の誘惑から逃げ出したわけですが、世の中には逃げることによって時間が解決してくれることと、そうでないことがあります
昨日、逃げることができたからといって、今日も逃げられるとは限らない
さて、そんなわけで再び鉄板です
団地妻とジュリーが先に付き、続けて僕とウィッチが店に到着、僕らが今抱えている課題や問題について語り合いつつも、そのアンバランスな空間には”いつもと違う空気”が流れます
知っている、この感じ、僕は知っている
人間ですから僕を含めて他のメンバーも同じテンションやコンディションで望めるわけではありません
或いは”いつも”だと思っていたことが特別なのかもしれません
こうなることがわかっていたから乗り気ではなかった――想定内ではあるけれど、そうなることを期待していたわけじゃない
”目の前の風景は観察者の在りようでいかようにも変わる”
鉄板の上で焼かれているイカを眺め、どんな食べ物が好きかと言う話になっても、僕は何処か上の空、団地妻の不安定さはバッテリーで言うところのミットを構えたところにボールが来ないという有様で、僕としては目の前のウィッチよりもそれが気になってしかたがないわけです
学生の頃に何度か経験した合コンのあれだ
その場が盛り上がるかどうかは、その女性の気分が上がるかどうかで決まるみたいな、そういう人が滑りまくるわけですから、僕はなんとかコケないように支えようと必死になる――これは僕の性分なので、どうにもならない無意識による強迫観念
”わたし、イカが一番好き!”
ウィッチの言葉に”イカデビル”を思い浮かべても、口に出せる空気じゃない
”ジュリー、わたしのこときらいなの?”
団地妻は、か~らか~ら、か~ら~まわ~り~♪
いっそ記憶を失くしてしまいたい
それでも僕はこの場に居ないことよりも、居ることを選択した
まな板の上だろうが、鉄板の上だろうが、焦がれる思いを放置して結果が良かったためしがない
そういう後悔は、十代の時で十分
アンバランス・ゾーンを避けずに飛び込んだことによって、次の朝、ミューズからメッセージが来た
因果律を盲信はしないが、これはもうオカルトだ
では、また次回
虚実交えて問わず語り
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