第42話 恋は女を美しくし、男を女々しくする

 結婚する相手が見つかって、結婚するぞとなって、結婚して、新婚で、子供を授かって、家族が増えて、家庭になって、それを育んで、守って


 なんて時に恋なんかいらないし、しないです


 日々新しいことが身近でずっと起きていて、外側に意識を向ける余裕なんてないですね

 なんかキラキラしていて、何もかもが眩しく見えるものです


 一緒に暮らせば、何を共有し、何を共有できないのか、そしてこれから何を一緒に見つけて、何を作り上げていくのかとか、小さな発見の連続で、その一つ一つの発見と作業が愛おしくて仕方がないのです

 その一つ一つに対しては恋をするのではなく、愛を育むというニュアンスです


 逆にそこで恋を継続してしまうと、求めてしまったり、縛ってしまったり、引け目を感じてしまったり、期待をかけてしまったりするものです


 恋には必ずプラスとマイナスがあり、愛にはゼロかプラスしかないというのが僕の仮説です


 なぜ愛にはマイナスがないのかと言えば、愛はマイナスをチャラにできる力があるからです

 恋は評価で、愛は賛辞だと言い換えることもできるかもしれません


 可愛さ余って憎さ百倍とは、恋によって見えなかった部分に気付いたとき、それまでの評価がすべてひっくり返る現象を言います

 計算式で言えば、×(-1)を見落としていたことになります


 愛が憎しみに変わるというのは、価値の変化ではなく、気持ちの変化です

 計算式で言えば i×i×i×i=(−1)×(−1)=1

 つまり虚数を用いた複素数です(*1)


 この二つは別の方程式によって起きる現象だと僕は考えます


 さてさて、僕は恋も愛も人は複数することができると考えていますが、たとえば愛で満たされているときには、なかなか恋は出来ないものです

 讃えるべきものがそばにあり、それが日々変化していくのだとしたら、何かに恋をする気分にはなかなかなれないものです


 野球をこよなく愛する人が、何かをきっかけに”最近の野球はつまらん”と思ったとき、サッカーやバスケットボールの魅力に気づき、恋をするのが男性的な恋の仕方ではないでしょうか


 女性はどうなのでしょうかね?


 この件に関して僕は何も語ることがありませんが、恐らく違うのではないかと思うのですが、そのあたり、是非ともいろんな方の意見を聞きたいところです


 つまり、野球を愛している間、男性は野球のここがダメ、あそこがダメだとは言わないのですが、女性が恋人の悪口を言うことはあまり聞きませんが、旦那の悪口は、あちらこちらで耳にします


 あれは、のろけや照れ隠しとは、少し違う気がしますね

 

 嗚呼、僕がどれだけカミさんから周りに愚痴をこぼされているのか、想像しただけで、身の縮まる思いです


 穴があっても入れないのがつらいところ


 ”恋は女を美しくし、男を女々しくする”という言葉がありますが、きれいな奥さんは果たして、旦那さんに恋をしているのでしょうかね?


 それとも・・・


 では、また次回

 虚実交えて問わず語り


注釈1

虚数:2乗したときに0未満の実数になる数

複素数:実数と虚数を組み合わせた数

現代では地図の座標を計算(GPS)する技術として利用されている

https://atarimae.biz/archives/500


東西南北の座標位置を一つの計算式で表すには2乗したときに0未満になる数値iを使うと、i をかけた後の点は、 i をかける前の点を「原点を中心に反時計回りに90度回転させた」座標になるんだよね


iをかける

愛を掛けると憎しみのフィールドにかわるだけで、気持ちの絶対量は変わらないということなんだよね

愛が深ければ深いほど憎しみも深くなる


これに対して可愛さ余って憎さ百倍は計算ミスのことなんだね

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