第25話 ひと口ちょうだいと”win-win”と

 ”世の中には男と女しかいない”などと申しますが、果たしてそうでしょうか?

 生物学的にはそうに違いないのでしょうが、それはオスとメス

 男でも女でも一般的な会話の中で、それも男女の機微を語る上では単にセックスの違いを示す言葉ではないでしょう


 ”女はわからん”の意味は、メスがわからんとは同意語ではない・・・などと理屈をこねながら話すのが男であっり、女は”男って馬鹿よね”の一言で8割がたの答えを導き出してしまう。

 男は残りの2割に目が行きがちで結論をためらうのです


 さて、今日のお題

 ”ひと口ちょうだい、わたしのあげるから”や”半分ずっこしよう”といった言葉を女性の口から聞くことはあっても、男性同士あるいは男女の会話でも男性からそれを言い出すことは少ないでしょう


 僕は『win-win』という言葉が嫌いです

 あなたにとって僕もあなたも得をする取引を必ずしも僕が喜ぶとは限らない

 僕があなたのwinを望まない可能性をあなたはまるで考えていない


 win-winの関係は原則として望ましいことだけれども、僕があなたのことが嫌いだった場合、あなたに得があるという時点で、この話に乗る理由はない

 それなのに『win-win』をさも、それを提案したあなたの手柄のような顔をされては、僕はいささかもwinではない


 それでもなお、あなたは”半分ずっこしよう”と言うのです

 僕はカツカレー、あなたはオムライス

 オムライスのひと口とカツカレーのひと口は、どのあたりで等価交換が成立するのか

 いや、カツカレーはカレー、ご飯、カツ、福神漬けといった添え物も含めて完成されたドラマがそこにあるというのに、そこにオムライスという異物を交え、カツを一切れ手放すということが、どれだけシナリオを変更することになるのか


 多くの男性がそうであるとは言いませんが、僕の頭の中では常にそういう脳内プレゼンテーションが行われるというのに、一口食べた後に「おいしいね、私も今度カツカレーにしうよ!」とか「ほら、ここのオムライス、なかなかおいしいでしょう」とかなるのならわかるがうんうんと二度うなずくだけで済まされてしまうと「で、どうだったの、あなたの疑問や欲求ははたして解決したのか?」と聞きたくなってしまう


 それが間違え


 そう、したかっただけなのだから、そこに僕の求めているような”解”はないのである


 異論もおありのこととは思いますが、8割はオーバーでも6割はそういうものであって、細かいところはまぁ、いいではないですか


 えっ?

 騙された気分で釈然としない?


 それはきっとあなたがオムライスに対する愛が薄いせいです

 僕は本当はオムライスが食べたかったのに、彼女が”わたしオムライスが良いな、どうせだったら別々のものを頼もうよ、ほらカツカレーおいしそうじゃない?”と言われて二番手のカツカレーにしたのです


 あなたのまわりの”win-win”

 どこかねじれてりませんか?


 ではまた次回

 虚実交えて問わず語り

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