第24話 女性と映画を観に行くと言う事
あまりいい思い出がありません
映画は好きです
子供の頃、ゴジラを見に行ってから中学、高校まではわりと映画館に足を運んでいました
中学生のとき付き合っていた彼女と有楽町に薬師丸ひろ子、松田優作主演の『探偵物語』を観に行ったのが最初の映画館デート
お互いに好きな役者――僕は松田優作、彼女は薬師丸ひろ子が好きで当時勢いにのっていた角川映画です
最初のデートとしてはまずまずの選択だとは思いますが、これが、あれがナニでして……若い二人には刺激の強いシーンがあったり、ラストシーンのキスシーンを「あれよかったね」とか「長すぎないか、あのキスシーン」とか言えるような距離感ならよかったのですが、どうにも黙りこくるしかなかったわけです
そのあと確かゲーセンで遊んだり、買い物をしたり、ご飯を食べたりは楽しかったのですが、映画の話題を口にすることはありませんでした
その彼女と別れてからの僕の女性と映画を見に行った遍歴はこんな感じ
『スタンド・バイ・ミー』
別れた彼女の親友と友達以上恋人未満関係で観に行った。有楽町、僕はとても楽しかったし、彼女もリバー・フェニックスがお気に入りなったので、それはそれでよかったのだが、この映画は男同士でみるべきだったと、すごく後悔した
”男の子てそういうところあるよねー”以上の話はできず、消化不良を起こす
まさに恋人未満な関係
『ときめきに死す』
高校の同級生に好意を抱かれ、僕としては彼女にそれほど興味がなかったのだけれども、ごめんない、前述の彼女と別れて傷心の身。気分転換にと”その気のないデート”をしたのであります
これもまたいい感じのラブシーンとかあるんですけどね、そういうことをすべてぶっとばすような凄惨なラストシーンにあっけにとられ、それどころではなくなります
監督は森田芳光で『家族ゲーム』の次々回作で沢田研二がテロリスト役を好演、杉浦直樹と樋口可南子が絡み、滑稽でエロくて、不気味なとても面白い映画でしたが、高校生にはあのラストシーンのあとに楽しく会話をするメンタリティを求められても困ります
まさに、ときめきが死んでしまうレベル
『ザ・フライ』
僕の中でもこれは名作中の名作で、一緒に見た彼女も映画の話とかすごくしっかりできる人で、楽しい思い出・・・になるはずでしたが、彼女からの駄目出し
”あのラストシーンは女性にはきつすぎる”
ハエと人間が合体しちゃう話ね
で、いい感じのラブシーンもあって、怖いシーンもあって、男女の機微みたいなものがすごく上手に描かれていて、ラストシーンに行くまでは、今日一日彼女と楽しく過ごせる! と浮かれていた僕は、またしても『してやられる』のでした
二世誕生に続く・・・あの出産シーンはダメだわ、男でもダメだわ
”さすがに気分が悪くなったわ”
そうだよね、そうなるよね
『七人のおたく』
女性と観た映画の中ではベストチョイスだった気がします。僕も社会人だったかな。中学の同級生の家に熊本から出てきた同年代の女性がしばらく東京で暮らすということになり、東京観光というわけでもなく、今となってはなんで観に行ったのかわかりませんが、映画でも観に行こうということになりました
確か・・・二本立てだった気がします
彼女、なんというか剛毅でね。映画見ながらビールを飲み、途中でトイレに立つ始末・・・そういうの苦手なんだわ
怒りはしませんでしたが、映画に失礼だろう! と思ってしまう僕が、確かにいるのです
彼女は大変楽しかったと言っていましたが、”全部見てないだろう!”と心の中で突っ込むのでした
『もののけ姫』
カミさんと結婚する前に観て来ました。並んだなぁこれ。
ナウシカとか徹夜で初日を観に行ったことがある僕ですからね。映画を観たあといろいろと語りたいことがあったというか、正直、この映画は「ちがうよ! 宮崎監督! 僕らが見たいのはこれじゃないって!」という否定的な感想を持っていたのですが、暖簾に釘打ち、ぬかに小判、馬の耳にロバの耳
そういうことにはまるで関心のないカミさんは「えっ、そんなシーンあったっけ」「なんかよくわかんなかった」「お腹すいた」で、あー、二度と映画は一緒に行かないと思ったわけです
夫婦や恋人同士で映画を楽しめる人が、僕は心底うらやましく、そして不思議に思うのです
どうしたら うまく できるんだろう?
ではまた次回
虚実交えて問わず語り
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