第22話 男女の機微と”きび団子”

 さて、”機微”という言葉、日常会話ではほとんど使わないでしょうかね

 情報セキュリティーの世界ではそれはまさに守るべきものなのですが、それでいて人間社会には”機微”のなんて多い事か


 たとえばあなたの名前と住所と電話番語とセットで女性が接待をしてくれるようなお店に入り、その後二人で食事に出かけた


 つまりあなたの名刺とそこに書かれた携帯の番号、その女性の容姿的な特徴、2人で食事をしたことがわかるレシートや目撃情報があれば、それはもう機微な情報なわけで、奥様や公的な関係者にはあまり知られたくない情報だと思います


 とかく男性はそういうことに無頓着であり、女性は無意識にそれを利用している


 たとえば幼稚園の送り迎えの間での奥様同士のランチ

 話題は旦那の稼ぎがどうとか、最近飲んでばかりで帰りが遅いとか、夜の回数がめっきり減ったとか、そんな明らかに”機微”な情報をおおっぴろげに話すわけです


 男性からすれば”何の得があるのか”ということになるやもしれませんが、これは”秘密の共有”による”共犯関係”を築くことにより、”安定したパワーバランス”を保ち、互いが身近な距離である限りにおいては”同盟”を結び、お互いに敵対行為はしないことの”暗黙の了解”なのです


 いやいや、そんなこと、後々どんなことになるか恐ろしくで本当のことなんか言えないじゃないかと男性なら思うでしょう


 まず前提として女性に嘘は通じないという事(*1ただし特定の状況を除く)

 そして無関係な距離になった時は”きれいさっぱり忘れる”という便利な機能が備わっています(*2個人差はある)


 ”機微”とは表面からは知りにくい微妙な心の動きや物事の趣や事情ということになります


 女性にとって”その程度のこと”は”表面からは知りにくい事情”ではなく、容易に察することができ、その確認作業でしかないとも言えるのかもしれませんが、実際のところは、僕にも計りかねる事案でございます


”女は毎日”化粧”という嘘をつき、男は”その時”が来るまで騙され続け、真実を知ったのち、騙された自分を騙して生きていくかの選択を迫られる”


 嗚呼、これ、絶対に女性には怒られる奴ですね

 世の男性諸君はこういう”うんちく”めいたことをついつい人前で披露しがちですが、時と場所を選ばないと、大変なことになりますよ


 子供のころから疑問に思っていたことがあって、鬼が島に鬼退治に行った桃太郎はどうしてきび団子程度で三匹の家来――犬、猿、キジを従えることができたのでしょうか

 初期の頃の桃太郎物語には「きびだんご」は登場しなかった(*3)という話もあるそうで、もしかしたら黍は機微の意味が込められていたりするのかしらと妄想するのが男子、そんなの”とってつけただけで、別に団子でも餅でもなんでもよかったのよ、桃太郎が良い男だったからに決まっているじゃない”というのが女子なのです


 いろいろと異論はあるかと思いますが、男性にとって一見理不尽(団子と鬼退治は等価交換ではない)に見えることが、女性にとって現実的解釈(いい男の頼みなら一つ返事、団子もくれるならラッキー)がいとも簡単にできるということがあるのです


 嗚呼、何故男の見る景色と、女の見る景色は違うのでしょうね


 ではまた次回

 虚実交えて問わず語り


*1 男でも女でも惚れたら負けです


*2 個人差というよりも毎日やらなければならない事とやりたいことがバランスよくある人は、上手に過去を忘れることができ、やることがない人、やりたいことが見つからない人は過去にばかり目が行くのではないでしょうかね


*3 wikiより

 草双紙の研究家である小池藤五郎が諸本を比べて結論したところでは、初期の頃の桃太郎物語には「きびだんご」は登場しなかった。

 元禄頃(1688年から1704年)の桃太郎は「とう団子(十団子)」であり、その他、「黍団子」以前の古い話には「大仏餅」・「いくよ餅」が出てくるという。

 また、黍団子に「日本一」がつくのは元文頃(1736年)だという。

 島津久基なども、「日本一の黍団子」の成句が当然、室町時代より桃太郎伝説で成立していたとみていたが、小池はそれに反駁したのである。


 つまり”きび”ありきではないという真理に”いい男説”のほうがはるかに近いということですね

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