第17話 タンスがダンスでタン、タン、タン

 夫婦の形と言うのは、いろいろとあるものなのだろうし、我が家はこうですという話を永遠としたところで、なんら生産的なことではない

 とはいえ、僕が見ている世界を、景色を読者の皆様に理解してもらうためには、やはりやるべきことなのではないかと考えたわけです


 正直ちょっと辛くなってきた


 カミさんの得意なもの、特異なもの

 大きな声で歌う

 踊りながら歌う

 不思議な踊り

 肩に力を入れてゲームをやる

 実直にして愚直にして切れやすい

 思ったことを口にする

 少ない語彙でアレがナニする

 自分を冥王星人であると思っている

 人見知りで物おじしない

 何かと断れない

 テレビをいつまでも観ていられる

 布団でいつまでも寝ていられる

 髪の毛が太くて美容院泣かせ


 ふーむ

 カミさんの苦手なもの

 料理

 掃除

 アクションゲーム

 バイオハザードの移動キーの使い方

 写実

 これとこれが似ていると言って、似ている試しがない

 わりとネガティブ、されどポジティブ

 カラオケでデュエット

 猫舌

 体が硬い

 所作がぎこちない

 ジェットコースターなどの激しいアトラクション


 などだろうか

 総じていえば4コマ漫画に出てくる面白キャラ(脇役)


 実はこういう人は居そうでいない(いや、たぶんいないそうで、ここにいる)


 二人でご飯を食べに行っても

 ショッピングをしても

 映画を見ても

 

 僕が望むような答えが返ってくることはない

 共感ではなく、脅威或いは違和感


 だからしんどい時にはげんなりするときもあるが、程よい刺激であり、見方を変えるきっかけだったり、ヒントだったりすることがある


 もちろん”数撃てば当たる”と言うだけで、ピンポイントではない


 凸凹コンビ


 箪笥がダンスするような不思議な踊りを繰り出したかと思えば、子供たちにマリオカートでぼこぼこにされたり、ロジックを超えた直感でゲームをクリアしたりする


 カミさんはセンシティブとラジカルが混在したカオス

 僕はロジカルとエモーショナルが融合したニュートラル

 そしてその間に生まれた娘は秩序を重んじるコスモスであり

 息子は僕らをかき回すトリックスターである


 さらに言うなら全員血液型がB型だ


 一緒に食事に行こうとなったとき、一発でお店が決まることはまずないし、常にあちらを立てればこちらが立たずという流転の中にあって時に僕を苛立たせ、困惑させ、そして物思いに老けさせる


 こういうのも悪くない


 家族や家庭に何を求めるのか、人それぞれなのかもしれないが、僕はきっと”何も求めなかった”のだと思う


 ありのままでいられること


 そしてだからこそ、僕は外に目を向けることができる


 ではまた次回

 虚実交えて問わず語り

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る