たまり場回想記

第7話 たまり場だシャバダバダ、あっはーん

 このタイトルを見て何か曲が頭の中に流れた人は、まぁ僕と年齢が近いのでしょうね

 今日は午前11時台に執筆しております


 どうやら今日は、この時間に書かないと、手が空きそうにない月曜日です


 小中高と僕は放送部や放送委員や放送局といった学校の放送を担当しておりました

 朝の朝礼の準備やお昼の放送から下校時間にイエスタデイ・ワンス・モアなんか校内放送で流すあれです


 僕はよく職員室で先生と世間話をしたり、プリントをホチキスで止めるのを手伝ったりと、ちょっとした”たまり場”にしていた感があります

 煙草の匂いとインクの匂い、輪転機やわら半紙と言えば、もうノスタルジックであって若い子たちには何のことやらってことになるかしらね


 ガンプラブームやインベーダーゲームが流行って町の駄菓子屋や模型店は僕らのたまり場でした

 中学で番を張っている同級生には10歳以上離れている兄弟がいて、そこではいつもかっこいい洋楽が流れていました

 お兄さんに『煙草を買ってきてくれ』と頼まれて、そういうことはしたことがないと言って笑われたのは中学2年のときだったかな

 今なら中学生に煙草を買いに行かせる大人と言うのは、存在しないでしょうから、今どきの人には”なんだかわからん”と言う話になるでしょうが、そこは僕にとって刺激的で秘密基地のような場所でした


 大学では音楽系のサークルに入ってずっと部室に入り浸っていた


 社会人になってからは、地元のカラオケ居酒屋がたまり場になった

 マスターは釣り好きでつってきた魚を調理して振舞ってくれたりしたし、あの頃はまだレーザーディスクだったかな


 ああ、ちなみに我が家ではまだレーザーディスク見れますよ


 同僚のアパートで飲み明かしてそいつが隠していたエロ本やエロビデオを見つけて鑑賞会なんていうのもありましたね


 たまり場はいつも刺激に溢れている


 さて、今僕がこうしてここで皆様と出会うことができたのは、そうしたたまり場の経験をもとに、何かと書くことには困らない人生を送ってきたということもあります。

 ただそれ以上に、二回目の転職の後に”たまり場”になったカラオケスナックで出会った仲間や、そこで経験したいろいろというのが執筆をする僕と言うキャラクタを構築する上では影響が大きかった


 ここではあえて名前を出しましょう


 ありがとう! キヨ!


 いい奴だけど、めんどくさいところもあって、酒好きで、でも酒に飲まれるやつで、料理が上手で、でもこだわりがあって、義理堅く、西武ファン


 カウンターに僕しかいない

 ”おい、この店大丈夫かよ”って心配をよそに、あいつは楽しげに野球の話をする


 ”今日はもう、しめちゃいましょうか”

 そのあと二人で何軒も店をはしごするなんてこともありました


 そんなキヨの人柄に引き寄せられる人もいたし、逆に来なくなる人もいました

 僕はと言えば、”たまり場”が好きなだけで、キヨの人柄だけでその場所に居ついたわけではありません

 もちろん、キヨでなければ、あんな面白い場所にはならなかったでしょうが……


 犬は人になつき、猫は家になつく


 自分の居場所――自分が築いた家庭や、務める会社、育ててくれた両親、ともに育った兄弟、学友にバンド仲間、いろいろあります


 僕は僕の居場所が欲しい


 そこに行けば誰かに会える

 それは知っている誰かではなく、この場所に引き寄せられてきてしまった、どちらかというと残念な人たちだったり

 自称、アウトローだったり、聖人君子だったり

 キングだったり、帝王だったり

 やんちゃ盛りだったり、ちょい悪だったり

 密会だったり、合コンだったり

 ストレス発散だったり、切磋琢磨だったり

 ただただ歌いたかったり、聞いていたかったり

 場違いだったり、居ついたり……


 CSでちょっと前の映画やドラマを見るよりも、こっちの方がよっぽど面白いと思うわけです


 まだ出会えていない、逢いたい人が来る店


 もちろんそうでない人もいますが、どこかはみ出していたり、外れていたり、歪だったりする人たちが、一時の止まり木として訪れては去っていくあの場所が、僕はとても好きだった


 その場所がなくなって、もう1年が経過する

 僕らはすぐに、違う場所を見つける

 失われたものへの哀愁はあっても未練はない


 そういうたまり場で僕が何を見て、何を感じ、何を思ったのか


 ではまた次回

 虚実交えて問わず語り

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