第14話 旅のレシピ(前編)
どこかの車窓から……
ぷるっぷ・ぷぅるぷるるるる~ルルルル♪ (脳内再生してください)
ぷるっぷ・ぷぅるぷるるるる~ルールン♪ (脳内再生お疲れでした)
今日は多恵ちゃんと仲直りの旅です。
妄想だからって旅行してわるいはずがない。
先ほどのオープニングテーマの脳内再生は無謀でした。
行き先は天満宮ルーレットで決めた。
旅の魅力は未知との遭遇、そしてハプニングにある。なにを見てなにをなすのか、最初から決まっていては面白さは半減。とはいえ、目的地さえ決まっていないのでは旅行というよりそれは放浪になる。
天満宮とは菅原道真を祭神とする神社の総称で、
要はダーツで決めるか、天満宮で決めるかの違い。
目的地が決まれば、あとは経路を考えながら出発する。天満宮や菅原道真に興味はないのでたどり着けば
タッチして引き返すだけ……だからおもしろい。
今回は近場に決まった。飛行機も新幹線も使わず、日帰りができる距離。
遠出は遠出で楽しいものだが、何泊かするとなると着替えや宿泊先は決めておかねばならず、近場は気楽さが魅力だ。電車に乗ればあとは銀河鉄道の夜のジョバンニとカムパネルラのように車窓に流れる景色を堪能するだけ。なにか気になれば途中下車もわるくない。運が良ければクラムボンの正体が見つかるかも……
お昼は立ち食いの『天ぷらそば』と『サイダー』にした。微妙な取り合わせ。
だとしても、宮沢賢治が愛したレシピなら、それなりにロマンもある。
流れる景色のささいな変化に八重歯がこぼれる。良かった。今日は笑顔が多い。
君の横顔を見ながら、僕はふと考える。
君はいったい幾つなんだろう?
同世代? 10歳年下? 少女のような存在なのか? それとも母性……
死期を悟った僕が求めた理想とはいかなるものか。旅はまだ続く。
夜空の石炭袋に吸い込まれたカムパネルラ
振り返ると消えていた存在は君なのか? 多恵ちゃん!
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