イ「おはようございまーす」

フ「よ、今日も一日頑張ろうな」

イ「ご〜は〜ん〜」


(音・衝撃)

イ「え」

フ「おい、なんか向こうで凄い音したぞ!」

イ「行ってみましょう!」


フ「洗面所の方から聞こえてきたけど

  ……おい、大丈夫か!」

ケ「……痛ぇ」

フ「何があったんだ? すげえ音したけど

  なんか顔腫れてるし」

ケ「触んな、冷やしときゃ治る」

フ「だから、何があったんだって聞いてんだよ」

ケ「殴られたんだよ、あのガキに」

フ「ガキって……ネイブのことか?

  え、あいつが、お前を殴ったの? 逆じゃなくて?」

ケ「うっせえな、そうだよ悪いかよ

  ……だから、私も理解が追いついてねえんだよ」

イ「本当に、何かあったんですか?

  というか、そのネイブは今どこに」

ケ「……ちょっと、時間をくれ」

イ「……」


ネ「くそっ……!」

グ「あ? おい、ちょっと待てよガキ」

ネ「なんですかグロキアさん

  用がないなら、話しかけないでもらえますか」

グ「んな不貞腐れた顔で歩いてたら呼び止めるに決まってんだろ

  朝からなんか騒がしいと思ったら、てめえの仕業か」

ネ「……俺とケティさんの問題ですから

  仕事はちゃんとこなすので、副班長はお構いなく」

グ「餓鬼のくせに一丁前のこと言ってんじゃねえ

  てめえらの尻拭うのは俺なんだよ」

グ「おら、何があったか言ってみろよ

  てめえは理由もなく人を殴るような畜生なのか?」

ネ「……注意されたんですよ、顔洗ってるときに突然

  てめえは警察じゃねえんだ、チンピラの指導なんかしてんじゃねえって」

グ「ああ、そういやそんな報告も入ってたっけな

  煙草吸ってた餓鬼と警備隊員が揉めてたって、あれお前の仕業か」

ネ「悪いですか? ああいう非行を放っておくことが被洗者を産む

  それを未然に防ぐのも、警備隊の立派な使命でしょ」

グ「まあ巡回って仕事には、そういうのを防ぐって役割もあるな」

ネ「それで少し口論になって、あの人が言ったんですよ

  そんな出来損ない、被洗者にして殺してやったほうが社会の為だって」

グ「……ああ、なるほど 納得したわ ま、あいつなら言いそうなことだ」

グ「それで余りの口の悪さに耐えかねて 思わず手が出たってか」

ネ「……頭に血が上って、気づいたら逃げ出してました」

グ「別にお前が間違ってるっていうつもりはねえよ

  つか、単純にあの女が悪いんじゃねえかな」

ネ「……」


グ「ただな、これから先のために一つだけ言っておく

  これは説教じゃない、俺の戯言とでも思ってくれていい」

ネ「……なんですか」

グ「お前が守りたいのは正義か? 法か? それとも人か?

  それとも優しい甘ちゃんである自分自身か?」

グ「それを早めに自覚しといた方がいいぜ

  でないと、必ず決断に失敗する」

ネ「……」

グ「今日は休んどけ、その状態で外に出られても困る

  仕事に復帰するのは、ちゃんとケティとけじめつけてからにしろ」

ネ「グロキアさんも、上司みたいなことするんですね」

グ「うるせえよ馬鹿」

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