巣食う者・4

イ「うーん、あはは、わかんないや」

イ「はぁ……ネイブは相談してくれっていうけど

  こんなこと誰にも聞けないよ」

イ「それに、誰に聞けばいいのかなんてわかんないし

  この国の歴史、おかしくない? なんて」

イ「んー、気分転換に絵本でも見にいくかあ」

イ「ん? あの表紙、見覚えがあるような

  ええと、『バードウォッチング入門』?」

イ「これ、あの写真が挟まってた本だね

  バードウォッチングって、鳥を観察するやつだよね」

イ「狩りの中では何度も観察と研究を繰り返してきたけど

  趣味でやったことはないし、ちょっと読んでみようかな」


イ「……え?」

イ「何これ、この街の地図……? ×印がたくさんつけてある

  それに謎の数字もいっぱい書き込んであるし……」

イ「この本、バードウォッチングの本なんかじゃない

  誰かが中身をすり替えたんだ」

イ「警備隊の遊戯室に隠されていたのと同じ本が

  怪しい内容の地図と入れ替えられてる」

イ「ということは、これもトーブっていう人の仕業ってことか

  なんでこんなめんどくさいことを……」

イ「この地図を調べたら、あの人が失踪した理由に近づけるかも

  よし、昼からはこれを調べることにしよっか」

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