巣食う者・3

イ「ふぃ〜、疲れた」

ネ「おかえりイーリ どこ行ってたんだ?」

イ「ちょっと西部の図書館にね

  普段文字なんて読まないから疲れたよ」

ネ「へえ、何か調べたいことでもあったの?」

イ「この街の歴史とか、警備隊の過去とかね

  何も知らないままだと、この先困るかもだし」

ネ「立派だなあ、俺も見習わないと」

ネ「何か気になることがあったら遠慮せず聞いてくれ

  俺の知ってる限りだけど、協力できるかもしれない」

イ「うん、ありがと」


(音・ドア)

イ「図書館から借りてきたこの本、読むのは明日にしよう

  晩ご飯食べたらすぐ寝ちゃいそうだ」

イ「一日中訓練した時よりも疲れた気がする

  これを毎日やってる人たちって、凄いなあ」

イ「……」

イ(なんというか、よくわかんなかったなあ)

イ(この街の歴史……調べれば調べるほど

  何か騙されているような気がする)

イ(この国を覆う呪いと、それを対処している私たち光都警備隊という存在

  全ての始まりは、旧世代の戦争)

イ(そしてこの街から突如消えた、光都警備隊の拷問官

  数十年続く平和の中、一体何が起こっていたんだ?)

イ(何かが隠されているとしたら……この目でそれを見つけ出さなきゃ

  そのために、ここまできたんだから)

イ(……)

イ(……)


(音・ノック)

キ「おーい、イーリくん起きてるか〜?」

イ「……ん、寝ちゃってたか」

(音・ドア開)

イ「はい、なんでしょう」

キ「晩ご飯の時間になっても顔を出さないからさ

  体調が優れないのかなって」

イ「え、もうそんな時間なんですか!?

  どーしよ、ご飯抜きなんて耐えられないよ!」

キ「食堂にパンとグラタンだけ残してもらってる

  今すぐ食べに行きなさい」

イ「わーい、ありがとうございます!

  すぐ食べに行きます」

(音・ドア閉&足音)

キ「……この国の過去について、調べるねえ

  私の考えすぎであってほしいものだが」

キ「もしもの時は、私が……これも宿命か」

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