天文台3〜

イ「来たよ」

コ「おや、よく来てくれましたね

  予約通り、天体観望室の使用ですか?」

イ「うん」

コ「準備はできてますよ さ、こちらです」


3回目

イ「うわあ、なんか……薄暗い」

コ「明るすぎると星の光がかき消されてしまいますからね

  もちろん暗化現象の対策は万全です、安心してください」

イ「ん、大丈夫 それにしても

  この街にもこんな場所があるんだなって」

コ「この光の街の中で、もっとも徹底的に光を排した場所に

  光を追い求める者たちが集まるとは、なんだか皮肉ですね」

イ「ロマンチックともいう、でしょ?」

コ「ま、驚くのはまだ早いですよ

  望遠鏡を覗いてみてください」

イ「……わぁ なんていうかグロテスク?

  でも、力強いというか、飲み込まれるみたいな」

コ「それは比較的近いところにある星ですね

  他の星から見れば我が星も、あの様に見えるのかもしれません」

イ「えぇ……怖いけどわくわくするなあ」

コ「さて他の方角を見てみましょう

  調節は私が……はい、どうぞ」

イ「おお、今度は火花みたいなのが見える」

コ「あれは星雲です 遠く遠くにある星たちが

  それぞれ光を放つことで、一つの塊に見えるのですよ」

イ「どのくらい遠くなんだろう」

コ「さあ、ただ一つわかるのは

  私たち人類が辿り着くことはないということだけです」

イ「ロマンだねえ……」



以降

イ「う〜ん、こんなに広くっちゃ、どんなに頑張っても

  全部の星を見つけるのは無理そうだよ」

コ「裏を返せば誰も見つけてない星がまだたくさん残ってる

  非常に好奇心をそそられると思いませんか?」

イ「第一発見者になったら、名前をつけられるんだよね?

  頑張って探すぞ〜」

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