うろつき・西

秘境巡り4・西部

ネ「さあ行こう! 本日は待ちに待った西部だあ!」

イ「おおー! 勢いで誤魔化してるけど

  ネイブ半分も参加してないからね!」

ネ「つっても、西部ってあのビル群のとこだろ?

  国境がどうなってるか見当もつかねえなあ」

イ「国境?」

ネ「うん、他の三つは光都外との境であって

  繋がってるのはまだ国内なんだけど」

ネ「西部だけは大きな山脈があって

  さらに奥には別の国が広がってるらしいんだ」

イ「ほええ、何それ 行ってみたいなあ」

ネ「ま、森の中は真っ暗闇で危険が多いし

  行き来できるのは国の許可を受けた人だけらしいけど」

イ「……なんとかして行けない?」

ネ「だーめ、俺たちは大人しく国境を見学するとしよう」


イ「ふーん、こんなところがあったんだ」

ネ「西部って大都市って感じだったけど

  裏道に入ると意外とビルのないところも多いんだな」

イ「でも、でっかい家とかレストランとかもあるし

  ただ寂れてるわけでもないみたいだよ」

ネ「一等地ってやつなのかな

  縁がない世界だから知らなかったよ」

イ「私たちなんかが歩いてて怒られないかな」

ネ「大丈夫だと思うけど……なんか不安になってきた」


イ「あれ、でっかいフェンスがある

  それにその奥は……」

ネ「見渡すこともできない暗い森

  ということは、ここが光都の果てか」

イ「ふぅ、流石にここまでくると家も少ないよね

  美味しいものもなさそうだなあ」

ネ「うーん、静かすぎて怖いくらいだ

  そりゃあ誰も行きたがらないはずだよ」

イ「そうかな、逆にワクワクするよ」

ネ「えぇ……アグレッシブだなあ」

イ「本当に美しいものは、恐怖や絶望の中にある」

ネ「……誰の言葉?」

イ「おかーさん、私の

  ま、会ったことはないんだけど」

ネ(ああ、母親譲りなんだ、この好奇心)

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