プロローグ

プロローグ ―四年前の出来事―


   プロローグ 四年前の出来事



 アメリカ合衆国、某所。

 そこには、いかにも高級そうなドレスを身にまとった少女がいた。

 長い蒼髪を二つ後ろでまとめ、自信と喜びに満ちた表情をしながら、机の上の手紙を読んでいる。

「あぁ、お姉様……。お元気そうで何よりです……」

 手紙の相手を「お姉様」と呼ぶあたり、彼女は妹なのだろう。

「それよりも……お姉様、貴女あなたはいつもそう……。『親友の男の子』についての出来事を、必ず書かれるのですね……」

 ミルクで白くなったコーヒー入りカップを手にし、一口すする。

 そしてカップを机の上に置くと、一言呟いた。

「私はいつか、その『親友の男の子』に会えるのでしょうか?」

 ひたすら、その『親友の男の子』を想像する少女。

 すると、声が響いた。

「姫殿下、少しよろしいでしょうか」

 少女の機嫌がみるみる悪くなる。

「その呼び方はしないでちょうだい!」

「し、失礼いたしました、“お嬢様”」

「そうそう、それでいいのよ。して、何用かしら、伯爵?」

 名残惜しそうに、机から離れる少女。

 もう一度手紙を見て、優しく微笑んだ。


「いつか貴女と、その子に会えることを願っております。ですから、どうかご無事で……」

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