第9話 投げ出す
年相応の指先だと思った。
摩擦に僅かな痛みはあるものの、傷つけられたと咎めるほど、自分の皮膚も尊くない。
オイルと混ざれば、やがて適度な刺激になる。
そんなものだ、と思った。
くらべるからおかしくなる。
望まなければいいだけだ。
これが普通だと、こういうものだと、思えばいい。
求めない代わりに、声を出した。
感情ではなく、ただ、快感の。
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