第2話 見付ける
識別するための名前を知っていた。
選択権は私が持っていた。
これが欲しいんです。
だから、望みを叶えてくれる人に会いたいです。
あなたはどんな人ですか。
それを私にくれますか-
余計な感情が滲まないように、言葉が温度を持たないように、淡々と伝わる事だけを願った。
ただの文字列として届けばいい。
それなら、傷つかないし、期待もしない。
優しい、と何度も言った。
あなたこそ、と何度も言った。
呼ばれるための名前はなかった。
あなたはとても気持ちよかった。
あなたの声が、とても心地よかった。
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