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引き抜いた伝説の剣を腰にぶら下げ、俺は街にある国王の城へと連れていかれた。
「やぁやぁ、よくぞ来てくれました、勇者様よ」
国王は俺に対して最初から媚びた口調だった。そのわりには王座から俺を見下ろしていた。
俺は城の中で歓迎され、豪勢な料理を振る舞われた。旨かった。夢中で腹の中に詰め込んだ。こんな料理は二度と食べられないかもしれないと思ったから。
「勇者様お一人では旅も大変でしょう。こちらでお供を用意しました」
食後、国王が貼り付けたようなにこにこ顔で、俺にそのお供とやらを紹介してきた。
そのお供というのが、騎士のアーモス、魔導士のイーカ、僧侶のダカンの三人だった。
三人とも、城のお抱えの占い師の占いによって選出された面子だった。
数日後、俺とその三人は城を出て、街を出て、森と山の向こうにある魔王の城を目指して旅を始めた。
それからなんだかんだ冒険をしたりしたわけだが、俺にとってはどうでもいいエピソード以外の何物でもなかったから、一つも憶えていない。だからすべて割愛する。
そうこうしているうちに、魔王の城に到着した。
ここまではわりかし順調だったのだが、城内の攻略は結構きつかった。
魔物が森にいるやつよりも三倍は強かったし、何よりも手強かったのは魔王の玉座のある部屋の前で待ち構えていた中ボスである。
両手が刃物で、頭に巨大な角を生やしていて、口からは毒ガスを噴く、正直見た目からして魔王よりも強そうな魔物だった。
この魔物との戦闘で、お供だった三人がいっぺんに死んだ。
魔物は最終的に、イーカが毒ガスで苦しんでいるうちに俺がトドメを刺して殺した。
そいつを倒した時点でイーカにはまだ息があったが、放っておいたら、じきに息絶えた。
俺は玉座のある部屋に入り、玉座の上にふんぞり返る魔王と対峙した。
「くっくっく、勇者よ、よくここまで辿り付いた」
そして冒頭のやり取りに続くわけである。
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