探偵が理不尽に調教()されるだけの胸糞悪いBL小説

こじらせた青

探偵と捜査官

 ウィルは、全裸の状態で背中に両手首を拘束され、四つん這いになっている。ジャックはウィルの背中をブーツで踏みつけた。

 ウィルは、グイっと歯を食いしばった。

 ジャックが、手に持っていた鞭で、四つん這いになっているウィルの背中を鞭打った。


「うゎあああああ」


 叫び声が室内に反響する。

「どんなことをお前にされようと、証拠は渡さない」

 ジャックは彼の背中をさらに踏みつけた。

「あぁ……うぅ……」

「さっさと、証拠品の在処を言え!」

 ジャックはウィルの尻をバシッと、鞭で叩きつけた。ウィルは苦悶の表情で地面に這いつくばった。


「運営のガイドラインに抵触しないか……不安だ」

 運営のガイドライン。第13条(禁止事項等)に当てはまるような項目をウィルは心配していた。

「運営のガイドラインなんて、誰も読んでないコンテンツが心配するようなことじゃないだろ!」

 ジャックはウィルを蹴り飛ばす。ウィルはその反動で、仰向けになった。


「それに単純にセルフレイティング表示すればいいだろ。「残酷描写有り」「暴力描写有り」「性描写有り」なんて項目があるんだし、そんなことも分からないのか」

 ジャックはウィルの両足を抱え上げ、下半身の大切な所に、鞭の先端を押し付けた。

「くぅ……そんな発言をしておいて! 一体何をするつもりだ?」

 ウィルは思わず足を閉じた。すると、ジャックはバシィッと強い力でウィルの尻を叩いた。


「誰にも閲覧されないような糞コンテンツの主人公のお前に拒否する権利なんてない。大人しく言うことを聞け!」


 ジャックは戸棚にあった容器を取り出し、それを少しだけコップに入れた。なんとも形容し難い、茶色と紫が混ざった液体を、ウィルに無理やり飲ませた。


「それをいうんだったら、お前も該当するじゃないか」

 ウィルがそう叫んだ。だが、ウィル自身、自分の体に起きている出来事に気が付かないはずがなかった。


「くくく……どうやら効いてきたようだな。これは、BLとかそういったアダルト作品によく登場するよくわからない媚薬だ。どうだ? たまらないだろ?」

 ジャックはウィルを見ながら、ニヤニヤ笑った。

「誰からも読まれないいいぃいいあぁぁっぁん……ぁあ、ひっ、くぅ、んんん……ぁ」

 ウィルの体は火照っていき、彼の意志に関係なく、勃起していった。

「くくく……理性が飛ぶのも時間の問題だな」

 ジャックは、彼の下半身を触る。

 ウィルのそそり立った先から蜜が溢れ出していた。


「やめ……ろ。そういう描写があるコンテンツはほぼ読まれないし、レビューもされない……」

 抵抗するものの、火照った体は力が入らず、ウィルは、ただ我慢している様子だった。

「だからなんだ?」

 ジャックは再び、ウィルの体に鞭を打った。


「本当に誰からも読まれないいいいああああぁ! あああんんはぁああんんんっ!」

 叫び声とともに白い液が、床に飛び散った。

「安心しな。少なくともお前の醜態は誰にも見られないから。ほら、汚ねぇな。自分で綺麗にしな」


 ジャックはウィルの頭を足で地面に押し付けた。

「ほら。誰も見てないから、舐めて綺麗にするんだよ」

 ジャックの足に力がこもる。ウィルは反抗した。

「ふざけるな! この変態野郎……」

 そう言ってウィルはジャックを睨みつけた。しかし、ウィルの陰茎はすぐに勃つ。


「そもそも俺はこんなことがしたいんじゃない。文句は作者に言うんだな。まあ、最も作者も書きたくて書いているわけじゃなくて、この作品のオリジナルは、BL小説のテストサンプルとしてクライアントに提出して没を食らった作品だがな」

 ジャックは床をバシバシ鞭打つ。


「屈服させるもしくは拷問としての鞭打ちシーンをお願いしますってそんなものどこに需要があるんだよ」

 ジャックが鞭を振りかざすのには、そんな背景があった。

「そもそも、拷問に使用されるのは、一本鞭じゃねーよ。SMに使われる玩具じゃねーか」

 ジャックが頭を抱え始めた。


「大体、個人利用目的で使いますって概要欄に書いているけど、プロジェクトの発注数200超えている点からみて、確実に商用ライターか、アダルト系の脚本書いている奴だろ。金払ってまで個人利用はしねぇわ。つーか、依頼するくらいだったら、ライターなんてやめてしまえ」


「それ以上、他のサービスのことやクライアントの文句はやめろ。きっとアダルト業界もブラックで大変なんだろ。というか、世界観がホントに壊れるから」


「うるさい。黙れ。世界観とかキャラクター性なんて、性描写がある時点で、もう関係ないだろ。それに、あれはガイドライン違反だ」

 ジャックはウィルの陰茎を拘束具で縛り付けた。


「うぅ……確かにどこぞのガイドラインには、プロジェクト方式の場合、一人に絞るまで作業させてはいけない……みたいな項目があるけど、逆恨みはよせ」

 ウィルはジャックをなだめた。


「無理やり書かされたもので中編小説なんて、書けるか。そもそも、プロットも何もない中でさっくりとしたシチュエーションだけ提示されても、無理がある!」

「それは、作者の読解能力の無さと、経験値不足だろ。きちんとした小説を投稿してもない作者がいきなり、そんなものを書けるはずがない」


「だ、黙れ。俺が言いたいのは、ガイドラインがあるのに、無視するその姿勢だ。初心者歓迎のタグ付けで、無知なシナリオライターにサンプルを書かせる意地汚さだ。確かに、シナリオ分野では、そういったことが多々ある。だが、そんなもの、ポートフォリオを見れば一目瞭然だろ」

「それはポートフォリオを指定してなかった奴が悪い。放置されるクライアントの方が悪質では?」


「それは確かに一理ある。ひどいものだと、結婚相談所の営業が概要を適当に書いて、いざ、中身を見れば、結婚相談所の登録を促しているものもある。すべての結婚相談所がそれを行っているという訳ではないだろうが、サクラがいる裏付けになったことは確かだ」


「や、やめろ。出会い系アプリの登録数やレビューですら、コントロールされる時代だ。もうネットに転がっている情報なんて、ほとんどがポジティブに書かされている根拠のない印象操作に他ならない」

「はぁ。正直者だけが馬鹿を見る。そんな偽造されたネット世界で、何を信じればいいんだ」

 ジャックは叫ぶ。

「わ、分からない」

 そんな答えのない問いに、ウィルはそう答える。

「チクショウ!」

 ジャックはウィルの穴に数本の指を入れ、かき回した。ウィルは悶え狂う。


「唐突な展開だぁああんんはぁああんんっ!」


 ウィルの悶える叫び声が、監禁場所にこだまする。 

「ほら、ここに何が欲しいんだ?」

 

「ううぅうぅ。……誰からも見られないんだろうけど、評価欲しいよっぉおおおおおお」

 彼の意志に反して、悲痛な声が漏れた。

「くくく……出品オークションという名の奴隷オークションに出せる立派な奴隷にしてやるからな」


 かくして、新米探偵は失踪することになる。捜査は難航し、探偵も失踪した少年たちも見つかることはなかった。

ただ、探偵ウィルの残したテープは、後に不幸にもウィルの弟に発見されてしまう。


「え? これ続くの?」

 どこからもなく、声が聞こえた。

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