いじめとは何だろうか。広辞苑では、【いじめること。弱い立場の人に言葉・暴力・無視・仲間外れなどにより精神的・身体的苦痛を加えること】とされている。


 日本で一番充実している辞書と言っても過言ではない広辞苑ですら、その定義は曖昧で、あやふやだ。少々ふわっとしている。


 広辞苑に従っていじめを定義づけるとしたら、果たして『弱い立場の人』とは具体的に一体どういう人のことを指しているのだろうか?


 いや、屁理屈をこねているのはわかっている。言葉というものには限界があり、また、しっかりと定義してしまえば悪用される可能性があるということも、もちろんわかっている。


 ただ、どうしても考えずにはいられない。『弱い立場の人』というのは、単に力が弱い人のことなのか。それとも、社会的地位が低い人か。はたまた、なにか傷害、障がいを持つ人のことか。いやいや、性格が弱気である人こそが『弱い立場の人』だろうと主張する人もいるかもしれない。


 でも、僕は考える。


 『弱い立場の人』だからいじめられるのか。それとも、いじめられたから『弱い立場の人』になるのか。


 僕は考える。僕は――

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