第4話
間章 アナスタシア・ブリアレオス
アナスタシアは
高度千メートル程度の空を飛行する
現在、アトランティスには
なお、
一つは獅子に似ている四つ足歩行の怪物で、個体名をネメアーという。そして、もう一つは人型シルエットをしている二足歩行の怪物で、個体名はスパルトイ。
大きさや強さに個体差があるが、いずれも黒く禍々しい影のような質感で、生命感は欠片もない。ひどく無機物的で、自然界の生物に酷似しつつも禍々しい姿をしている。
これら
(
アナスタシアは上空から見渡して
ちなみに、太陽はまだ知らないが、
(いた! 地上型のネメアーね!)
アナスタシアは西に三キロほどの距離に存在する
聖騎士団の拠点である
「どうやら西の都市が魔物に襲われているようですね。浮遊都市に救難信号が届いて警報が鳴ったのでしょう。現地の聖騎士を助力します。付いてらっしゃい!」
アナスタシアは女の子達に指示を出すと、途端に急加速して西の空へと飛翔した。他の女の子達も光の翼を羽ばたかせて後を追いかける。
しかし、飛翔する速度は圧倒的にアナスタシアの方が速い。単身、ものの数十秒で三キロ先の都市上空にたどり着いてしまった。
(この辺りは安全地帯だと思っていたのに!)
すっかり油断しきっていた。アナスタシアは歯がゆそうに顔を曇らせる。
(大型種や飛行種はいないようね。一気に片付けてみせるわ!)
アナスタシアはそう決めると――、
「顕現なさい、断魔の天剣、ヘカトンケイル!」
そう叫んで、右手をかざした。
すると、彼女の手元に一振りの剣が現れる。アナスタシアは顕現した剣をしっかりと握りしめると、眼下の都市を囲う城壁の外に向かって急降下を開始した。そこには、現地の
「汚らわしい! 消えなさい!」
アナスタシアは落下の勢いに任せて、剣を振り下ろす。
すると、獅子の頭部はバターのように切り落とされて、地面に転げ落ちた。分断された獅子の頭部と胴体は、すぐに黒い霧となって霧散する。
「アルカディアからすぐに援軍が来ます。私が前に出るわ。貴方達は戦線を下げて守りを固めなさい!」
アナスタシアは付近にいる現地の
「行くわよ、ヘカトンケイル!」
アナスタシアが叫ぶと、彼女の周囲に複数の剣が顕現し、ふわりと浮遊した。剣は一斉にスパルトイの群れへ飛翔していく。と、同時に、アナスタシア自身も敵に突っ込んでいく。その戦い様は実に雄々しく、優美ですらある。
上空には遅れて到着した女の子達が集まっていて、地上で戦うアナスタシアの勇姿を見下ろしている。しかし、ややあって――、
「私達も邪魔しないように、アナスタシア総団長に続くよ!」「了解!」
少女達も城壁の外へ舞い降りて、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます