愛を買う女

私は愛を買う。

「ホ別2.5でどう?」

「いいよ、それで」


セックス自体はそんなに好きじゃない。でもお金に困っている訳でもない。何でこんなことしてるんだろう。自分でも分からない。多分、こうして私を買ってくれる男がいること自体が最早快感になっているんだと思う。


今日も名も知らない男とホテルへ行ってセックスする。ゴムはいらない。私は子供ができない体らしい。昔付き合っていた男は、それを聞くと嬉々としてゴムいらないじゃん!とぬかしやがった。その日のうちに私たちは別れた。もう二度とその男とは関わりたくない。


私が行っているのは体を売るという下賎な行為なんかじゃない。これは紛れもなく愛を買っているのだ。体という対価を使って。


(夢があった。子供を作って、旦那と子供と幸せな家庭を作ることを。でも、できないと分かった。だから、こうして愛を買って、何かの奇跡を祈っているのかもしれない。沢山の人と関係を持てば、子供ができるかも……。)


馬鹿げたことかもしれないけど。私にはそれしかできない。好きな人も、理想の夢も失ってしまったから。


今日も愛を買いに行く。美しく着飾って。夢を掴むために。

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ヤバい女のSS集 木下地下 @honey067

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