竜神探闘⑥
アディルの放った
アディルの
何者かが形成した防御陣はアディルの
ただ、アディルの
「ち……」
アディルは舌打ちをすると今度はアンジェリナが
炎の奔流が今度は
防御陣をすり抜けた形となった炎を
「どうやら防御陣を張れる奴がいる以上、遠距離からの攻撃は効果が薄そうだな」
「そうね。となると近接戦闘しかない訳ね」
「そういう事だ。みんなやるぞ」
アディルの言葉に
アディル達の行動を見た
新手の
「やるわね」
エリスが称賛を込めた声を発するとアディルも同意とばかりにニヤリと嗤った。
「ああ、俺が前に出るからみんなは
アディルの言葉に全員が頷いた。アディルの言葉の意図を全員が察したのだ。
アディルは天尽を構えるとそのまま一足飛びに、
躊躇なく突出してきたアディルに対し、
斬りかかってきた
次に斬りかかったのは
アディルは一呼吸で二体の
そしてそれは他のメンバーへの意識が外れると言う事を意味しているのだ。意識を外した場合に最も危険な相手がいることを当然ながら
その危険な相手とはヴェルである。この美しい元貴族令嬢は危険極まる技を習得している。
ヴェルが意識を完全に外した
「な……」
突然隣の仲間が絶命した事に驚愕した
至る所で
(総合的な戦力は相手が上か。エリスが式神を作成してくれているから何とか戦線を維持できているというわけか。相手の一手次第で戦線が崩れて乱戦にでもなればまずいな)
アディルは現状をそう把握していた。現在のところアディル達は
(頼むぞ)
アディルは心の中でそう願いながら、襲い来る
* * *
「上手くいったわね」
アリスがそう言うとエスティル、シュレイが力強く頷いた。そして
アディル達と
アディルの放った五竜天破は攻撃の意思もあったのだが、それはついででに過ぎない。その真の目的はアリス達を敵の目から隠すことであった。
もちろん、永遠にアリス達を隠し通すつもりなど毛頭ない。一分、一秒でも長く隠せればそれで良いのだ。
その一分、一秒隠し通すことでアディル達の一手はその効果を増すのである。
「もう少しでウサギがイルジードの近くまで達する。それでいけるわ」
エスティルの言葉にアリスも頷く。アリス達がここに転移できたのはエリスが放った斥候用の式神のウサギがそれぞれの場所に転移魔術の拠点を設けていたからだ。
現時点ではまだ式神はイルジードの近くに到達していないのだ。ウサギ達が転移魔術の拠点を作成していることが相手にバレれば、それを利用され却ってアリス達がピンチになる事も考えられるために慎重にイルジードの近くに向かっているのだ。
また準備が整ってから転移しなかったのは、
そこでアディル達は自分達を囮に使い救援に向かう事の出来ないようにしようとしたのである。
「ここまでは上手くいってるわね」
「ああ、俺達の行方を完全に見失っているのは間違いないな」
エスティルの言葉にシュレイが返答すると二人とも静かに頷いた。しかし、次の瞬間に三人は何者かの気配を察知するとそちらの方へ視線を一斉に向けた。
「アリス……」
「お姉様……」
「アリスティア様……」
そこには沈痛な面持ちを浮かべた三人の竜族の姿があった。
イルジードの嫡男レナンジェス、その妹ルーティア、そして侍女のエルナであった。
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