竜神探闘④
「ちっ……挟撃されたか」
アディルは忌々しげな声を発する。
「でもいつの間に? まったく気配を感じなかったし索敵にも引っかかってないわ」
アディルの言葉にエリスが疑問を呈する。
「おそらくはあいつらが放った矢だ。あの矢に転移魔術の術式が組み込まれていたんだ」「だとしたらこの場ってまずいんじゃない?」
「いや、そうとばかりは言えない」
「どうして?」
「まだ包囲が完成したわけじゃないからな。逆に各個撃破してしまおう」
アディルが返答するとエリスは大きく頷くと
「少しは時間を稼げるはずよ」
エリスの言葉に全員が頷くとアリスとエスティルが背後に現れた
「私とエスティル、
アリスは指示を飛ばしつつ背後の
(こちらも仕掛けてるし、いけるか……)
アディルはアリス達を信じて前面の
アリスとエスティルが
闇ギルドの構成員である駒達は基本的に戦闘訓練を受けているわけではないのでほとんど抵抗する事も出来ずに一方的に狩られたのだ。
全滅しなかったのはアリスとエスティルが救援に動いたのが速かったからに他ならない。
エスティルは魔剣ヴォルディスを抜き放つと魔力を込め一気に放った。魔剣ヴォルディスは魔力を増幅する魔剣だ。その魔剣の力によって増幅された魔力の塊は凄まじい速度で
「な……」
エスティルの放った魔力の塊を躱しきれなかった三人の
残りの
散会した
エスティルの魔剣ヴォルディスが一閃し、
この絶好の機会を逃すほどエスティルは呑気ではない。再び魔剣ヴォルディスが一閃されると
アリスも同様に二体の
「おのれぇぇぇ!!」
残った
アリスが
「アルメイス、レグスは右!! エインとジャルムは左に回り込めウルディーは援護してくれ」
ロジャールの指示に
もちろんアディル達にそれを応じる義務などないし、そのつもりも一切無いのだが
「舐めるなよカス共が!!」
アルメイスとレグスは双剣を抜き放つと
エインとジャルムが背後から襲いかかるが
エインは双剣を交叉させて
亜エインが
ゴガァァァ!!
しかし、ジャルムの斬撃が
ジャルムは鋼鉄製の前掛けをしていたのだが、
凄まじい威力にジャルムの口から血が吐き出された。どうやら内臓が相当傷付いたようである。
「くそっ!!」
ロジャールが長剣を振るって
ビシィィィィ!!
「ロジャール!!」
ウルディーがロジャールの名を叫ぶと懐のナイフを
その稼いだ時間のおかげでエイン、アルメイス、レグスが攻撃に転じ、ロジャールを救うことに成功したのだ。
エイン、アルメイス、レグスが
(いける!!)
剣を杖代わりに仲間達の戦いを見ていたロジャールは勝利を確信する。このままいけば遠からず勝利を得ることは確実であった。そしてロジャールの予想通りエインの双剣の一本が
「やった!!」
「よし!!」
「見たか!! 俺達だってやれるんだ!!」
|毒竜のメンバー達から喜びの声が発せられる。六人がどうだと言わんばかりにアリスとエスティルを見るとすでに二人は
「やっと斃したわね」
「遅いわね。先が思いやられるわ」
アリスとエスティルの容赦のない言葉に
とりあえず挟撃の危機は去ったとみて良い。無事であった駒の男達が矢を集めており、転移してくればそのまま討ち取る事も可能なのだ。
アリスとエスティルが仲間達が対処しているはずの
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