三つ巴戦⑦
アディル達の手により黒衣の剣士、
黒衣の剣士は残り三体、
(まずはこいつらからだな)
アディルは黒衣の剣士達を殲滅させる事を決定する。
(俺はあいつをやるか……)
アディルが敵と見定めた相手は無傷の黒衣の剣士である。アンジェリナの
「シュレイ、アンジェリナはそっちの二体を頼む」
「アディルはそいつか?」
「ああ、こいつはおれがもらう」
「いいのか? そいつは一番強そうだぞ」
「ああ、こいつぐらいないと張り合いがないだろ」
アディルとシュレイの言葉に黒衣の剣士達から怒気が発せられた。アディルとシュレイの会話を聞いて不快にならないはずはない。もちろん、アディルとシュレイの会話が挑発であるのは黒衣の剣士達も理解しているのだが、不快になるかならないかは別問題である。
「舐めるなよ。小僧共……」
アディルが狙いを定めた黒衣の剣士が低い声でアディル達に凄んできた。
「いや、そんなに凄まれてもな」
「まぁ、最初からここまで良いとこ無しだもんな」
「掌の上で転がされてたんだから舐められてもしょうが無いでしょ」
「本来共闘することも可能だった
アディルが肩をすくめながら言うとシュレイとアンジェリナがすかさず乗っかってきた。この辺りの連携はアディル達“アマテラス”の得意技と言えるかも知れない。
黒衣の剣士が剣を構えた瞬間にアンジェリナが
放った
二体の黒衣の剣士は自らに放たれた
ちなみにアディルの方に放ったのはオマケである。
シュレイはアンジェリナの支援を得て、黒衣の剣士の間合いに踏み込むとそのまま上段から剣を黒衣の剣士に一気に振り下ろした。当然先程の黒衣の剣士に放った斬撃同様に剣に魔力を込め強化し、全身の力を使って振り下ろす。
キィィィィィン!!
上段から振り下ろしたシュレイの豪剣を黒衣の剣士は受け止める事に成功した。だが、全身の力を使っての斬撃であり黒衣の剣士はシュレイの剣をはじき返すことが出来ないでいた。
シュレイと黒衣の剣士の剣がギリギリとせめぎ合い、両者の間に力場が発生したかのような印象を周囲の門のは持ったように見える。
もう一体の黒衣の剣士が助けに入ろうとしたが、そこにアンジェリナの
キン……
そして、ついにシュレイの剣が黒衣の剣士の剣を断ちきるとそのままシュレイの剣は黒衣の剣士の左肩から入り一太刀で心臓をまで達したのである。
「ば、ばか……な」
心臓を両断された黒衣の剣士はそのまま倒れ込んだ。
残り一体の黒衣の剣士にシュレイが視線を向けると黒衣の剣士の顔が凍った。シュレイとアンジェリナの二人の連携を制して勝利を収めるのは至難の業であるのは確実であったからだ。
「くそがぁぁぁぁぁ!!」
黒衣の剣士は破れかぶれに突っ込んでくる。それは完全な特攻であり、もはや闘技者のものではない。そこまで追い詰められればもはやシュレイとアンジェリナの敵ではなかった。
アンジェリナの
「が!!」
いつもの黒衣の剣士の実力であれば容易に躱すことが出来たであろうが、現在の彼は冷静さを失っていたのが完全に裏目に出てしまったのだ。
内膝に衝撃を受けた黒衣の剣士はぐらりと体を揺らした。転倒しなかったのは黒衣の剣士の実力の高さ故と言えるかも知れないが、内膝に受けた一撃に意識を持っていかれてしまいシュレイから意識を外したのは詰みの案件でしかない。
シュレイはアンジェリナが生じさせた隙を見逃すことなく上段から一気に振り下ろす、シュレイの剣が黒衣の剣士の頭部を両断すると黒衣の剣士は力を失いそのまま倒れ込んだ。
「おのれぇぇぇぇ!!」
仲間が全滅したところで最後に残った黒衣の剣士がアディルに斬りかかってきた。
(こんどはこっちを試してみるか……)
アディルは
(バカが!! 間合い外だ!!)
黒衣の剣士はアディルの逆手斬りが間合いの外で行われた事に対して勝利を確信する。黒衣の剣士はがら空きになったアディルの右脇腹を一閃しアディルを斬り伏せるつもりであった。
だが……。
ガクンと黒衣の剣士の視界が下に落ちるとそのまま地面に突っ伏した。
(な、なんだ? )
黒衣の剣士が混乱していると耳元でドシャと何かが倒れ込む音を耳が拾った。黒衣の剣士がそちらの方を見ると
(ま……まさか?)
黒衣の剣士はこの時自分がどのような状況であるか察した。アディルの斬撃によって上半身が斬り離され、下半身が少し遅れて倒れ込んだのだ。
(間合いの外だったはず……どうして?)
黒衣の剣士の疑問はアディルの刀を見た時に氷解する。アディルの刀を魔力で覆い、覆われた魔力が新たな刀を形成していたのだ。
(……地面に鋒をつけて降るったのは……魔力で形成した刃を読ませないため……か)
黒衣の剣士の意識はそこで途切れる。アディルは
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます